介護分野で活用できるICT導入支援補助金とは?概要や補助額・対象経費を詳しく紹介

  • 2024年8月27日
  • 2024年8月16日
  • コラム

介護の分野では、人材不足とそれに伴う職員の業務負担の増加が課題としてあげられています。具体的には高齢化が進む中で、介護を必要とする高齢者の数が増加している一方で、介護職員の数は不足しており、多くの職員が業務において負担を抱えている状況となっています。

介護の分野ではこのような課題があり、将来的には介護サービスの質の維持が難しくなり、介護現場全体の生産性が低下すると言われています。

このような課題に対し、介護ロボットやICTを活用することが有効な解決策となっており、これらを上手く活用することで業務負担の軽減やサービスの質向上にもつながりやすくなります。

しかし、介護ロボットやICTを活用するにはそれなりにコストが必要です。できる限り負担を抑えて導入する方法としては、「ICT導入支援補助金」の活用がおすすめです。

本記事では、介護の分野の課題を解決できる「ICT導入支援補助金」について、概要や補助金、対象経費などを詳しく紹介するので、申請を検討されている施設は、ぜひ参考にしてください。


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ICT導入支援補助金とは

介護ロボット導入支援事業

厚生労働省:ICT化の推進について

厚生労働省は、介護現場におけるICT(情報通信技術)の活用を積極的に推進しており、記録業務や情報共有業務、そして請求業務などをICTによって効率化することで、介護職員の業務負担を軽減することを目的とした取り組みを行っています。

この一環として、令和元年から「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」が実施されてきました。これらの事業は、介護現場における業務効率化と生産性向上を目指し、介護施設がロボットやICTを導入する際の費用を補助することで、現場の負担を軽減し、介護サービスの質を向上させることを目的としています。

令和6年度の厚生労働省の予算案においては、上記で紹介した事業がさらに強化・拡充される予定です。具体的には「介護ICT導入支援事業」として、これまでの補助事業を発展的に見直し、統合する形で新たな支援メニューが設定されることが発表されています。

これまでも介護の分野におけるロボット技術やICTの活用には補助金が出ていましたが、「ICT導入支援補助金」によってさらに強化される見込みとなっていますので、職員の業務負担の軽減や、働きやすい環境を整えたいと考えている施設は、「ICT導入支援補助金」の申請をご検討ください。

ICT導入支援補助金の対象者

ICT導入支援補助金の対象者は、主に介護施設となっており、大きく分けると「施設・住居系サービス」と「在宅系サービス」の2つに分けられています。対象者の詳しい内容は、下記のリストでも紹介しているのでそちらを参考にしてください。

【施設・住居系サービス】

  • 介護老人福祉施設(地域密着型を含む)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 特定施設入居者生活介護(地域密着型を含む)
  • 認知症対応型共同生活介護

【在宅系サービス】

  • 通所介護(地域密着型を含む)
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 認知症対応型通所介護

上記が対象の施設となっており、ほとんどの介護施設ではICT導入支援補助金を活用できます。

また、ICT導入支援補助金は、各都道府県での申請となり、それぞれで対象等が異なるケースがあります。

申請にあたっては対象者であることが条件となりますので、申請を検討されている施設は、まずは対象となっているか各都道府県のホームページ等を参考にしながら確認してください。

ICT導入支援補助金を受け取るにあたっての要件

ICT導入支援補助金の申請には対象者であることが条件となりますが、その他にも満たさなければならない要件があります。

ICT導入支援補助金では、それほど難しい要件は設けられていませんが、下記の要件を満たすことで補助金を受け取ることができます。

【要件】

介護ロボットのパッケージ導入モデル、ガイドライン等を参考に、課題を抽出し、生産性向上に資する取組の計画を提出の上、一定の期間、効果を確認できるまで報告すること。

「介護ロボットのパッケージ導入モデル、ガイドライン等」とは、介護現場におけるロボット技術の適切な導入手順や運用方法を示しています。確認をすることで、導入の際の具体的な手順や注意点などが含まれており、現場での効果的な運用を支援するための指針となっています。

これらのモデルやガイドラインを参考にし、施設の現状と照らし合わして課題を抽出します。具体的にはどの作業が手作業で行われており、ロボットやICTを導入することで自動化や効率化が目指せるかを評価したりします。

そのうえで具体的な生産性向上のための計画を提出し、一定の期間効果を確認できることを報告することで要件が満たされる流れとなっています。

ICT導入支援補助金の補助対象

ICT導入支援補助金では、主に介護ロボットやICT、介護現場の生産性向上にかかる環境づくりなどが補助対象経費となっています。

具体的には下記のリストで細かく紹介しているので、そちらを参考にしてください。

【介護ロボット】

  • 移乗支援、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援など、厚生労働省・経済産業省で定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当する介護ロボット

【ICT】

  • 介護ソフト(機能実装のためのアップデートも含む)、タブレット端末、スマートフォン、インカム、クラウドサービス、他事業者からの照会経費等
  • Wi-Fi機器の購入設置、業務効率化に資するバックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)

【介護現場の生産性向上にかかる環境づくり】

  • 介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用
  • 見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備Wi-Fi環境の整備、インカム、見守りセンサー等の情報を介護記録にシステム連動させる情報連携のネットワーク構築経費等

【その他】

  • 上記の介護ロボットやICT等を活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費

ICT導入支援補助金の補助額・補助率

ICT導入支援補助金の補助額と補助率は、補助対象経費によって受け取れる額が異なります。

詳しくは下記の表にてまとめていますので、補助額と補助率について確認したい方は参考にしてください。

区分(介護ロボット)補助額補助率補助台数
移乗支援上限100万円3/4(一定の要件を満たす場合は3/4それ以外は1/2)必要台数
入浴支援上限30万円
上記以外

補助額(ICT)補助率(ICT)補助台数
1~10人 100万円3/4(一定の要件を満たす場合は3/4それ以外は1/2)必要台数
11~20人 160万円
21~30人 200万円
31人~ 260万円

上記が介護ロボットとICTを導入した場合の補助額と補助率になります。

なお、「介護現場の生産性向上に係る環境づくり」については、補助要件を満たした場合のみ上限1,000万円まで受け取れる仕組みとなっています。要件や補助額、補助率については下記の表で紹介しているので、そちらを参考にしてください。

【介護現場の生産性向上に係る環境づくり】における要件補助額・率
取組計画により、職場環境の改善(内容検討中)を図り、職員へ還元する事が明記されていること既に導入されている機器、また本事業で導入する機器等と連携し、生産性向上に資する取組であることプラットフォーム事業の相談窓口や都道府県が設置する介護生産性向上総合相談センターを活用することケアプランデータ連携システム等を利用することLIFE標準仕様を実装した介護ソフトで実際にデータ登録を実施すること等上限:1,000万円 補助率:3/4

介護業界における介護ロボットやICTの活用方法

介護ロボット ICT

介護ロボットやICTの活用は、介護業界の業務負担を大幅に軽減できる効果が期待できます。下記では、具体的にどのようなロボットやICTを活用し、業務の負担軽減や効率化につなげられるのかを紹介します。

ICT導入支援補助金の申請をするにあたって、具体的にどのような活用法があるか知りたい方は参考にしてください。

介護業務支援ICTシステムの導入

介護業務支援ICTシステムは、利用者のケアプラン作成、ケア記録の管理、請求業務の自動化など、介護業務全般を支援するシステムです。タブレット端末を使用して、職員がリアルタイムで利用者の情報を入力、共有することができます。

ICTシステムを導入することで、時間のかかる記録業務が大幅に効率化されますし、紙ベースでの記録に比べて入力ミスや情報の抜けを減少させられます。また、複数の職員が同時に利用者の情報を確認できたりもするため、ケアの向上にもつながるといったメリットがあります。

介護業務支援ICTシステムの導入は、介護における事務の仕事等の負担軽減、業務効率化につながるため、多くの介護施設で導入が進んでいます。

移動支援ロボットの導入

移動支援ロボットは、歩行が困難な利用者が自力で立ち上がったり移動したりするのをサポートするロボットです。ロボットによって機能は異なりますが、中には利用者が持ちやすいハンドルや簡単に操作できるコントロールパネルを備えているものもあり、移動の際にバランスを崩さないようサポートしてくれます。

移動支援ロボットを導入することで、サポートが必要な利用者でも自立した移動が可能になり、介助が必要になる場面を減少させることが可能です。特に介助は負担が大きな作業となるため、ロボットの導入によって大幅に介助を減らせるのは大きなメリットと言えるでしょう。

ここで紹介した2つの活用法は、あくまでも一例となります。その他にも幅広いロボット、ICTがありますので、それぞれの施設に適したものを導入するようにしましょう。

まとめ

今回は、介護の分野で活用できるICT導入支援補助金について紹介しました。申請することで数百万円、最大で1,000万円までの補助を受けられます。介護ロボットやICTの導入にはコストがかかるため、できる限りコストの負担を抑えて導入したいと考えている施設は、ICT導入支援補助金の活用をご検討ください。


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また、初回相談は無料となっています。「補助金の対象になるの?」「どのツールが合ってるの?」など、電子カルテや補助金に関するお悩みやご相談のある方はお気軽にお問い合わせください。