医療機関においては、AI技術の活用が広がっており、さまざまな機器やシステムを導入しているところが増えています。AI技術を導入することで、医療従事者の業務負担を軽減でき、専門業務に注力可能な環境を整備できるなど幅広い利点があります。
しかし、AI技術を医療機関に導入するとなると、膨大な費用が必要になるケースがあります。これらの費用をできる限り抑える方法として、東京都保健医療局が所管する「医療機関におけるAI技術活用促進事業」の活用があげられます。
今なら補助金の申請が可能となっており、採択されることでコストの負担を抑えてAI技術の導入が可能になりますので、できる限り負担を減らしたいと考えている医療機関は、補助金の活用について検討してください。
本記事では、東京都保健医療局が所管する医療機関におけるAI技術活用促進事業の申請を検討されている医療機関向けに、概要から補助内容の詳細について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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医療機関におけるAI技術活用促進事業とは
東京都保健医療局が所管する医療機関におけるAI技術活用促進事業は、医療従事者がAI技術を導入・活用することで、日々の業務負担を軽減し、専門的業務に集中できる環境を整えることを目的としている補助金です。
この補助金を通じて、医療機関における効率化を図り、患者の待ち時間の短縮やスムーズな診療が可能になるだけではなく、医療の質や患者へのサービスの向上にも寄与することが期待されています。
補助対象事業者
補助の対象となる事業者は、東京都内で200床未満の病院を運営する者(新規に200床未満の病院を設立し、病床配分の認可を受けた者を含む)または有床診療所の運営者(新たに有床診療所を設立し、病床配分の認可を受けた者を含む)とし、東京都知事が適切と判断した医療機関が対象です。
基本的には対象者であれば申請が可能となっていますが、下記に該当するケースは申請ができないので注意しましょう。
- 地方公共団体
- 地方独立行政法人
- 特定地方独立行政法人
- 独立行政法人
- 特定独立行政法人
- 国立大学法人
また、過去に医療機関におけるAI技術活用促進事業の交付を受けた医療機関についても申請が不可となっているので注意が必要です。
※ただし、200床未満の病院で、2年にわたる事業計画の2年目に交付申請を行う病院についてはこの限りではありません。
補助対象経費・対象外経費
医療機関におけるAI技術活用促進事業では、あらかじめ対象となる経費が決められています。基本的には令和6年度に実施する次の整備に係る経費が対象となりますので、参考にしてください。
【対象経費】
- AI問診の導入に係る費用
- 電子カルテ等へのAIによる音声自動入力の導入に係る費用
- AI通訳機など多言語対応のため必要な機器やシステムの導入に係る費用
- その他AI技術を活用したシステム等の導入で、知事が適当と認めるものに係る費用
※なお、1から4までに関連するライセンス料・システム使用料等については、補助事業年度内に発生するものは対象となります。
- 1から4までに関連する電子機器の導入に係る費用
- 上記1から4までを、既存の電子カルテシステム等と連携させるための改修に係る費用
- 病院全体の業務改善を行うため、 1から4までの取組の実施と合わせて活用するコンサルティング
上記が対象経費となりますが、AI技術の中でも対象外となる経費もありますので注意してください。対象外の経費については、下記のリストに記載していますので、そちらを参考にしてください。
【対象外経費】
- AI医療機器や勤怠管理に係るもの
- AI技術を活用していない機器やシステム
- 既に導入したシステム等の更新に係る経費
- 機器及びシステムの保守経費(サポートパック等を含む)やリース料、通信費等の経
- 常的な経費
また、他の国や地方自治体からの補助金等が利用される場合は、対象外となりますので注意してください。
補助事業の実施期間
補助事業の実施期間は、原則として、補助金交付決定日から令和7年3月31日までに着手および完了し、補助対象経費が支払い済みの事業が対象となります。
ただし、期間内での完了が難しい場合もあるかと思いますので、その場合は必ず担当者に相談するようにしましょう。相談なく完了できなかった場合は補助対象外になることもありますので注意してください。
なお、200床未満の病院に関しては、2年間にわたる事業計画も認められます。この場合、初年度に2年目を含む全体の事業計画を東京都に提出する必要があります。
また、次年度の補助金については確約されておらず、2年目には再度交付申請を行う必要がありますので、その点にもご注意ください。
2年間の事業計画の例については、下記にあげていますのでそちらも参考にしてください。
【2年間にわたる事業計画の例】
パターン1 | 1年目:整備・運用の詳細を検討 2年目:整備・運用を病院全体で実施 |
パターン2 | 1年目:一部の診療科等で先行整備・運用 2年目:病院全体に運用拡大 |
補助額(基準額)および補助率
医療機関におけるAI技術活用促進事業の基本的な基準額は1,000万円となります。
ただし、対象経費の「7 病院全体の業務改善を行うため、1 から 4 までの取組の実施と合わせて活用するコンサルティング」を行う場合には、単年度計画・2年間の計画のいずれの場合でも基準額は2,000万円となります。
補助率については、対象経費の見積もり額と東京都の補助金基準額を比較し、より低い方を選定額とします。その選定額に1/2の補助率を適用した金額が補助金として交付されます。
申請手続きの流れ
ここからは、医療機関におけるAI技術活用促進事業の申請手続きの流れについて紹介します。どのように申請をしたらいいかわからない方は参考にしてください。
申請書類のダウンロード
医療機関におけるAI技術活用促進事業への申請には、必要書類の提出が求められます。申請書類は「保健医療局ホームページ」上に掲載されていますので、そちらからダウンロードし、作成してください。
ダウンロード方法については、「東京都保健医療局トップページ」→「医療政策」→「事業主の方へ」→「令和6年度 医療機関におけるAI技術活用促進事業」の順に進めていくことでダウンロードできます。
ホームページのURLについては、下記に記載しているのでそちらからアクセスしてください。
公式サイトから申請書類をダウンロード:
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/jigyo/ai.html
申請書類の提出
医療機関におけるAI技術活用促進事業への申請に必要な書類は、紙ベースにて提出が必要です。基本的には郵送のみ受け付けており、レターパックや書留等、配達の記録が残る配送方法で発送する必要があります。
提出期限については、令和6年8月30日までとなっていましたが、現在では期間が延長され、令和6年度10月11日(必着)まで対応しています。
医療機関におけるAI技術活用促進事業への申請を検討されている方は、上記期限に間に合うよう下記の申請書類を準備し、提出してください。
【必要書類一覧】
- 医療機関におけるAI技術活用促進事業補助金に係る交付申請書(別記第1号様式)
- 医療機関におけるAI技術活用促進事業計画書(別記第1号様式 別紙1)
- 経費所要額調(別記第1号様式 別紙2)
- 歳入歳出予算書(見込書)抄本(当該補助事業の支出予定額が記載されているもの)
- 印鑑証明書
- その他参考となる資料(見積書及びカタログの写し等)
審査
必要書類の提出が完了したら、事務局にて審査が実施されます。
審査の際には、医療機関向けのAI技術活用促進事業審査委員会が設置され、そこで事業計画の内容が精査され、適切性や実現可能性が確認されます。そして、この委員会の確認を経て、最終的な判断が行われ、採択もしくは不採択が決定します。
内示または交付決定
提出された交付申請書の内容に基づき、東京都は補助金の内示または交付決定を行います。
内示または交付決定の時期については、令和6年8月30日(金)までに提出された申請に対しては、11月頃を目安に実施予定です。それ以降に提出された申請については、12月末頃を目途に内示または交付決定が行われる予定です。
変更があった場合の変更申請の提出
下記のいずれかに該当する変更が合った場合は、事前に東京都知事の承認が必要になります。許可を得ずに変更をしてしまうと補助金を受け取れなくなりますので注意してください。
万が一下記のような事例が発生したら、事前に連絡をするようにしましょう。
- 補助事業に要する経費を変更しようとするとき。
- 補助事業の内容を変更しようとするとき。
- 補助事業を中止しようとするとき。
上記の内容のように、やむを得ず変更等がある場合は、手続きが必要になることを把握しておきましょう。
実績報告書等の提出から補助金支払いまで
補助事業が完了したら、実績報告書を提出します。提出書類としては下記の内容が必要になるので、参考にしてください。
- 医療機関におけるAI技術活用促進事業補助金に係る事業実績報告書(別記第2号様式)
- 経費所要額精算書(別記第2号様式 別紙1)
- 事業実績報告書(別記第2号様式 別紙2)
- 歳入歳出決算書(見込書)抄本
- 納品書の写し
- 領収書の写し
- その他参考となる書類
実績報告書の提出が完了したら、補助額が決定され、確定通知書に基づき補助金の支払いが行われます。補助金は全ての事業が完了した後、指定の口座に振り込まれます。
まとめ
今回は、東京都保健医療局が所管する医療機関におけるAI技術活用促進事業について解説しました。補助金を活用することによって、最大2,000万円までの補助金を受け取ることができるため、AI技術の導入にかかるコストの負担を大幅に抑えることが可能です。
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