現在、日本のさまざまな病院で処方箋の電子化を行っているところが増えています。その理由は、電子処方箋を導入することで、コスト削減や業務効率化など数多くのメリットを獲得することができるからです。しかし、電子処方箋を導入するためには、システム運用が必要になるため、初期費用がかかります。そのため、コスト負担が大きくなるため、導入を躊躇している方もいるのではないでしょうか?
コストの負担が不安という方は、電子処方箋を補助金で導入するのがおすすめです。補助金を利用することで導入に必要なコストの一部を国が負担してくれるため、費用を抑えて導入することができます。
今回は、電子処方箋の概要やその導入に利用できる電子処方箋管理サービス等関係補助金の概要について詳しく解説しますので、補助金を活用して電子処方箋を導入したいという方は、ぜひ参考にしてください。
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電子処方箋とは?
厚生労働省公式:電子処方箋概要
電子処方箋とは、電子的に処方箋の運用を行う仕組みのことです。これにより、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報をチェックできるようになったり、それらを活用した重複投薬等の確認ができるようになったりします。
病院や診療所は患者から提出されたマイナンバーカードや健康保険証で本人確認を行い、処方・調剤された情報や重複投薬等のチェック結果を確認します。その後に、医師や歯科医師が処方箋の登録を行い、患者がマイナポータルや電子版お薬手帳アプリで情報の閲覧ができるようになります。そして、患者が薬局でマイナンバーカードや健康保険証で本人確認を行い、薬剤師が処方箋を取得し、処方・調剤された情報や重複投薬等のチェック結果を参照して調剤内容をオンライン資格確認等システムに登録します。従来においては、情報共有を紙の処方箋で行っていましたが、電子処方箋を導入すれば、システム上で処方箋を運用することが可能です。
電子処方箋管理サービス等関係補助金の概要
電子処方箋管理サービス等関係補助金とは、電子処方箋の活用や普及促進を図るために、電子処方箋管理サービスの導入に向けた保健医療機関及び保険薬局システム整備にかかる費用を補助する制度です。基本的に医療機関等が電子処方箋管理サービス等を導入する際は、電子処方箋管理サービス等関係補助金を利用することで費用を抑えることができます。
電子処方箋管理サービス等関係補助金の補助対象者
電子処方箋管理サービス等関係補助金の補助対象者は、病床数200床以上の大規模病院やそれ以外の病院、診療所、大型チェーン薬局やそれ以外の薬局です。あくまでも病院や薬局が対象になるため、その点には注意しましょう。
電子処方箋管理サービス等関係補助金の補助額について
電子処方箋管理サービス等関係補助金は、通常の電子処方箋管理サービスのみを導入した場合や通常の電子処方箋管理サービス及び新機能を導入した場合、新機能のみを導入した場合に補助を受けることが可能です。
通常の電子処方箋管理サービスのみを導入した場合の初期導入においては、令和4年度から実施している医療機関や薬局に対する電子処方箋管理サービスの導入にかかる費用への補助について、令和6年3月末までに導入した施設への特例補助率の適用を令和7年3月末導入施設までに継続した上で引き続き令和6年度導入施設への補助を実施します。具体的な補助額については下記の表の通りです。
大規模病院(病床数200床以上) | 病院(大規模病院以外) | 診療所 | 大型チェーン薬局(グループで処方箋受付が 月4万回以上の薬局) | 薬局 | |
補助内容 | 162.2万円を上限に補助 ※事業額の486.6万円の 1/3を補助 (通常補助率:1/4) | 108.6万円を上限に補助 ※事業額の325.9万円の 1/3を補助 (通常補助率:1/4) | 19.4万円を上限に補助 ※事業額の38.7万円の 1/2を補助(通常補助率:1/3) | 9.7万円を上限に補助 ※事業額の38.7万円の 1/4を補助 (通常補助率:1/5) | 19.4万円を上限に補助 ※事業額の38.7万円の 1/2を補助 (通常補助率:1/3) |
通常の電子処方箋管理サービス及び新機能を導入した場合の補助率は下記の通りです。
大規模病院(病床数200床以上) | 病院(大規模病院以外) | 診療所 | 大型チェーン薬局(グループで処方箋受付が 月4万回以上の薬局) | 薬局 | |
補助内容 | 200.7万円を上限に補助 ※事業額の602.2万円の 1/3を補助 | 135.3万円を上限に補助 ※事業額の405.9万円の 1/3を補助 | 27.1万円を上限に補助 ※事業額の54.2万円の 1/2を補助 | 13.8万円を上限に補助 ※事業額の55.3万円の 1/4を補助 | 27.7万円を上限に補助 ※事業額の55.3万円の 1/2を補助 |
また、新機能のみを導入した場合は、下記の補助額となります。
大規模病院(病床数200床以上) | 病院(大規模病院以外) | 診療所 | 大型チェーン薬局(グループで処方箋受付が 月4万回以上の薬局) | 薬局 | |
補助内容 | 45.2万円を上限に補助 ※事業額の135.6万円を上限に 1/3を補助 | 33.3万円を上限に補助 ※事業額の100万円を上限に 1/3を補助 | 12.3万円を上限に補助 ※事業額の24.5万円を上限に 1/2を補助 | 6.4万円を上限に補助 ※事業額の25.6万円を上限に 1/4を補助 | 12.8万円を上限に補助 ※事業額の25.6万円を上限に 1/2を補助 |
電子処方箋管理サービス等関係補助金の補助対象経費
電子処方箋管理サービス等関係補助金の補助対象経費は、HPKIカード等のICカードリーダーなどの購入費やレセプトコンピューターや電子カルテシステムなどの既存システムの改修費用、電子処方箋管理サービスを導入にあたり付随する保険医療機関などの職員の実地指導にかかる費用です。ここでは、それぞれの項目にわけてどのようなものが補助対象経費になるのか詳しく解説します。
HPKIカード等のICカードリーダーなどの購入費
HPKIカード等のICカードリーダーなどの購入費には、ICカードリーダーの費用や電子著名に用いるICカードのカードドライバのインストールにかかる費用などが挙げられます。具体的には、下記の通りです。
- ICカードリーダーの費用
- 電子署名に用いるICカードのカードドライバのインストール・設定にかかる費用
- 顔認証付きカードリーダーのアプリケーションのアップデートにかかる費用
- 資格確認端末のオンライン資格確認等連携ソフトのアップデートにかかる費用
- カードレス署名のモジュール・クライアントアダプタサービスにかかる費用
レセプトコンピューター及び電子カルテシステム等の既存システムの改修費用
レセプトコンピューター及び電子カルテシステム等の既存システムの改修費用は大まかにわけて医療機関の電子カルテシステムなどの改修にかかる費用や薬局の薬局システムの改修にかかる費用、ネットワーク環境整備の費用にわけられます。具体的な補助対象経費は下記の通りです。
【医療機関の電子カルテシステム等の主な改修】
- 電子処方箋ファイルを作成(電子署名の付与を含む)する機能の追加費用
- 電子処方箋管理サービスへ電子処方箋ファイル、処方箋情報提供ファイルを登録する機能の追加費用
- 重複投薬等チェック結果を閲覧するための機能の追加費用
- 処方・調剤情報の閲覧等に係る機能の追加費用
【薬局の薬局システムの主な改修】
- 薬局システムへ電子処方箋ファイル、処方箋情報提供ファイルを取り込む機能の追加費用
- 電子処方箋管理サービスへ調剤済み電子処方箋ファイル、調剤情報提供ファイルを登録する機能の追加費用
- 処方・調剤情報の閲覧等に係る機能の追加費用
【ネットワーク環境の整備】
- ネットワーク設定作業等に係る費用
- ルーター、スイッチングハブ、LANケーブル、ファイアウォール機器等の購入費
電子処方箋管理サービスを導入にあたり付随する保険医療機関などの職員の実地指導にかかる費用
電子処方箋管理サービスを導入し、スムーズに運用するためには事業者からの実地指導が必要になるケースがあります。電子処方箋管理サービス等関係補助金では、事業者から医療機関や薬局職員への電子処方箋管理サービス等の導入に関する指導にかかる経費を補助してもらうことも可能です。
電子処方箋管理サービス等関係補助金の公募日及び申請方法
電子処方箋管理サービス等関係補助金の申請期間は、電子処方箋管理サービスの場合、令和7年3月31日までに完了させ、令和7年9月30日までに申請されたものが補助対象になります。また、電子処方箋管理サービス新機能の場合は、令和6年11月30日までに完了させ、令和6年12月31日までに申請されたものが補助対象です。
具体的な申請方法は、はじめに電子処方箋管理サービスもしくは新機能の導入を完了させます。次に、システムベンダなどから請求書を受領し費用を精算します。システムベンダ等から領収書などを受領し、それを必要な書類に添付して期限までに補助金を申請する必要があります。
まとめ
今回は、電子処方箋の概要やそれを導入する際に活用できる電子処方箋管理サービス等関係補助金について詳しく解説しました。医療機関や薬局が電子処方箋を導入すれば、情報の参照や共有がスムーズになるため、確認作業の負担が軽減されます。また、紙の処方箋の運用がなくなるため、印刷費用のコスト削減などを期待することができるでしょう。しかし、電子処方箋を導入するためには、電子処方箋管理サービスや新機能を導入しなければならないため、それにコストがかかります。費用負担が大きくなるため、できるだけコストを削減したい企業は、電子処方箋管理サービス等関係補助金を活用するのがおすすめです。
もちろん、電子処方箋管理サービス等関係補助金を受け取るためには、申請が採択される必要があります。しかし、申請手続きが複雑なため、しっかりと採択されるのか不安を感じる方もいるのではないでしょうか?
メディカルツールナビでは、電子処方箋の導入を検討している医療機関等に対して電子処方箋管理サービス等関係補助金を活用した導入支援を実施しています。申請に必要な作業を代わりに行うため、医療機関等はスムーズな申請を行うことが可能です。興味がある方は、ぜひ下記のリンクからお気軽にお問い合わせください。
また、初回相談は無料となっています。「補助金の対象になるの?」「どのツールが合ってるの?」など、電子カルテや補助金に関するお悩みやご相談のある方はお気軽にお問い合わせください。