東京都保健医療局が所管する医療機関向けの補助金には、最新の技術導入やセキュリティ強化のための補助金を取り扱っています。
医療機関で最新の設備やセキュリティを強化するためには大きなコストが必要になりますが、補助金を活用することで負担を抑えながら導入することが可能です。
東京都保健医療局では幅広い補助金を取り扱っていますが、その中でも令和6年度に活用できるのが下記の3つです。
・医療機関におけるAI技術活用促進事業
・病院診療情報デジタル推進事業
・病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業
本記事では、上記の補助金の概要や補助額、対象経費などについて詳しく紹介するので参考にしてください。
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東京都保健医療局が所管する補助金まとめ
東京都保健医療局が所管する補助金には幅広い種類がありますが、その中でも注目されているのが下記の3つです。
・医療機関におけるAI技術活用促進事業
・病院診療情報デジタル推進事業
・病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業
下記の見出しでは、それぞれの補助金について詳しく説明しているので、申請を検討されている医療機関は参考にしてください。
医療機関におけるAI技術活用促進事業
公式サイト:医療機関におけるAI技術活用促進事業
「医療機関におけるAI技術活用促進事業」は、医療機関においてAI技術の導入をサポートすることで、医療従事者の業務負担を軽減し、専門的な業務に集中できる環境を整えることを目的とした補助金です。
医療機関におけるAI技術活用促進事業の補助金を活用することで、患者の待ち時間を短縮し、医療サービスの質や患者への対応を向上させることを目的としており、AI技術の活用を通じて、業務効率化と患者満足度の向上が期待できます。
また、医療機関におけるAI技術の導入にはコストがかかりますが、この補助金を活用することで負担も軽減できるので、できる限りコストを抑えた導入を検討している医療機関は、ぜひ医療機関におけるAI技術活用促進事業の活用を検討してください。
補助対象者
この補助金の対象は、東京都内で200床未満の病院や有床診療所を運営している、または新たに開設する予定の医療機関です。
ただし、地方自治体や公的な法人、また過去にこの補助金を受けたことがある医療機関は対象外となります(ただし、200床未満の病院で、2年間の計画に基づいて事業を進める病院は例外として対象です)。
対象経費
医療機関におけるAI技術活用促進事業の対象経費は、主にAI技術の導入にかかる経費が対象となります。具体的な内容については下記に記載されている通りなので参考にしてください。
1. AI問診システムの導入にかかる費用
2. 電子カルテなどにAIを使った音声自動入力システムの導入費用
3. AI通訳機など、多言語対応を可能にする機器やシステムの導入費用
4.その他、AI技術を活用したシステムで、都知事が適当と認めたものの導入費用
※なお、上記1〜4に関連するライセンス料やシステム使用料など、補助事業年度内に発生した費用は補助対象となります。
5.1〜4に関連する電子機器の導入費用
6.上記1〜4のシステムを既存の電子カルテシステム等に連携させるための改修費用
7.病院全体の業務改善を目的とし、1〜4の取組と併用するコンサルティングの費用
補助額・補助率
医療機関におけるAI技術活用促進事業の補助額は、以下の方法で決められた金額を、東京都の予算内で支給します。ただし、計算結果に1,000円未満の端数が出た場合には切り捨てとなります。
(1)次の表の➀に定める基準額と、先ほど紹介した対象経費の実支出額とを比較して、少ない方の額を選定します。
(2)(1)により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に次の表の➁に定める補助率を乗じて得た額を交付する。
➀基準額 | ➁補助率 |
1億円 ただし、対象経費に記載されている(7)のコンサルティングを実施する場合、基準額は2億円になります。 | 2分の1 |
病院診療情報デジタル推進事業
公式サイト:病院診療情報デジタル推進事業
「病院診療情報デジタル推進事業」は、病院への電子カルテシステムの導入や、システムの更新を支援することで、地域の医療機関同士が患者情報をスムーズに共有し、連携を強化することを目的としている補助金です。
今後は医療機関での電子カルテの導入が必要不可欠となるので、今のうちに環境整備をしたいと思われている医療機関は、補助金が受け取れる病院診療情報デジタル推進事業への申請がおすすめです。
補助対象者
補助金の対象者は、東京都内で200床未満の病院を開設しようとしている方や、すでに200床未満の病院を運営している方です。ただし、東京都知事が適切だと認めた場合に限ります。
また、下記に該当するケースでは補助金の申請をすることはできないので注意しましょう。
- 地方公共団体(市区町村や都道府県など)
- 地方独立行政法人や特定独立行政法人(地方公共団体が設立した特別な法人)
- 独立行政法人や特定独立行政法人(国が設立した特別な法人)
- 国立大学法人
- 前回この補助金を受けてから5年が経過していない病院
上記のように、全ての医療機関が対象になるわけではないので、申請を検討されている場合は事前に確認することが大切です。
対象経費
病院診療情報デジタル推進事業の対象経費は、主に「電子カルテシステムの導入や更新の支援」と「電子カルテ運用に伴う事務作業の支援」の2つです。詳しい内容については下記でも紹介しているので参考にしてください。
【電子カルテシステムの導入や更新の支援】
- 電子カルテシステム(診療記録を電子的に保存・管理するシステム)の導入や更新にかかる費用が対象です。これにはサーバーや機器の購入、システムの設計・開発、セキュリティ対策、取り付け工事などが含まれます。
- 厚生労働省の標準規格(SS-MIX2ストレージ)に対応できるシステムであることが条件です。
- 病院内の他のシステム(オーダーシステムや医事会計システムなど)を電子カルテと連携させるための改修も対象です。
【電子カルテ運用に伴う事務作業の支援】
- 医師の指示の下で、電子カルテへの代行入力や、医療機関同士での情報共有を推進するための業務にかかる人件費(給与、手当、報酬など)も対象です。
- 対象となるのは紙媒体で診療記録を管理していた病院が、初めて電子カルテシステムを導入した場合のみに限られます。
補助額・補助率
病院診療情報デジタル推進事業の補助額と補助率は、下記の通りです。
【電子カルテシステムの導入や更新の支援】
基準額:1病床あたり605,000円です。この金額に病床数をかけたものが基準額になります。
【電子カルテ運用に伴う事務作業の支援】
基準額:3,600,000円に配置する月数を12で割った金額が基準額です。(例えば、6ヶ月配置する場合は、3,600,000円×6/12=1,800,000円となります)
なお、補助金の支給額は、対象経費の2分の1が支給されます。
病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業
公式サイト:病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業
「病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」は、医療機関がサイバー攻撃などから守るためのセキュリティ対策にかかる費用を支援することで、医療機関のデジタル化を進め、医療サービスを安定して提供できる体制を整える目的の補助金です。
サイバー攻撃によって情報漏洩などにつながると、病院の信頼が損なわれる可能性があるため、特にデジタル化を進める医療機関においてはセキュリティ対策が必要不可欠です。
この補助金を活用すればセキュリティ対策にかかる費用を支援してもらえるので、できる限りコストも抑えながらセキュリティ対策を実施したいと考えている医療機関は、病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業補助金の活用を検討してください。
補助対象者
この補助金の対象者は、東京都内で電子カルテシステムを導入している病院の開設者で、東京都知事が適切だと認めた場合に支給されます。
ただし、下記に当てはまる場合は対象外となるので注意してください。
- 地方自治体(市区町村や都道府県など)
- 地方独立行政法人や特定独立行政法人(地方公共団体が設立した法人)
- 独立行政法人や特定独立行政法人(国が設立した法人)
- 国立大学法人
- 過去にこの補助金を受けた医療機関
- 暴力団
- 代表者や役員、従業員の中に暴力団員がいる法人や団体
対象経費
「病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」の対象経費は、電子カルテシステムの運用に必要なサイバーセキュリティ対策のための機器や設備の購入・設置費用です。具体的には、リモートゲートウェイ装置やオフラインバックアップ用のサーバー、エンドポイントセキュリティ製品などが対象です。
注意点としては、下記の費用は対象外になることです。対象外の経費は認められず、補助金を受け取れなくなるケースもあるので注意しましょう。
- 診療情報のオフラインバックアップにかかる作業費
- 維持管理や保守に関する費用
- この事業の目的に直接関係しない機器や用品の購入費
- 国や地方自治体の他の補助金を利用している場合も対象外となります。
補助額
「病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業」の補助額と補助率は下記の通りです。
【補助額】
1.200床未満の病院:5,000千円(500万円)
2.200床以上500床未満の病院:12,500千円(1,250万円)
3.500床以上の病院:35,000千円(3,500万円)
【補助率】
対象経費となる経費の2分の1が補助されます。
まとめ
今回は東京都保健医療局が所管する補助金を一覧で紹介しました。大きく分けると3つの補助金があり、特にデジタル化やセキュリティ対策に取り組む医療機関にはおすすめの内容となっています。
補助金を活用すれば最大半額で設備や技術の導入が可能になるので、特に東京都内の医療機関はこの機会にご検討ください。
メディカルツールナビでは、補助金を活用した電子カルテシステムの導入支援を実施しています。電子カルテシステムの選定だけではなく、補助金の申請サポートも同時に行っておりますので、補助金の活用を検討している医療機関は、お気軽にご相談ください。
また、初回相談は無料となっています。「補助金の対象になるの?」「どのツールが合ってるの?」など、電子カルテや補助金に関するお悩みやご相談のある方はお気軽にお問い合わせください。