電子薬歴ってなに?メリットや選び方、電子カルテとの違いについて詳しく解説!

電子薬歴ってなに?電子薬歴が医療DXを促進する?!

薬剤師の仕事の中には、薬歴を記録する作業があり、これは患者さんに正確で安全な薬を提供するために欠かせない仕事となります。

従来までは紙媒体で薬歴を記録する作業が一般的でしたが、現在はIT化が進みつつあるため電子化して記録する「電子薬歴」が増えています。

今回は、紙媒体からの脱却を検討されている方向けに、そもそも電子薬歴とは何か、電子カルテとの違い、導入するメリットなどをご紹介します。


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電子薬歴とは

電子薬歴についての概要

電子薬歴とは、薬剤師が行う調剤や服薬指導、患者さんの基礎情報や疾患などを電子的に記録するシステムのことを言います。

電子薬歴には大きく分けて2つの種類があり、「レセコン一体型」もしくは「クラウド型」を選べます。

レセコン一体型は、薬歴の記録のみならず、会計の操作も可能なシステムのことを言います。一体型であるため、会計処理もスムーズに行えるといった特徴があります。

クラウド型は、ネットワーク上のサーバーにデータを保存するタイプのシステムです。ネットワーク上のサーバーであることから、インターネットに接続されていればどこからでも使えるのが特徴です。自由度が高く、データ共有も容易に行えることから注目を集めているシステムの一つです。

電子薬歴の普及率

厚生労働省の「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書によると、電子薬歴の普及率が83.6%であることがわかっており、これは電子カルテよりも高い普及率となっています。

また、2030年には普及率が93%を超えるとも言われており、ほぼすべての調剤薬局で普及する可能性が高いと考えられています。

概要:厚生労働省:かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書

電子カルテとの違い

電子薬歴 電子カルテ 違い メリット

電子薬歴と電子カルテは同じではないのかと思われがちですが、実は意味合いが少し異なります。

電子カルテは医師が診療の経過を記入する電子的なシステムのことを言います。一方、電子薬歴は処方箋薬局での利用が想定されたシステムであり、患者さんに適切な薬を提供するためや、調剤報酬請求の根拠とするために用いられるものです。

このように、電子カルテと電子薬歴は利用シーンでの違いがあるため、同じものではないことがわかります。


電子カルテの概要についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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電子カルテのメリットデメリット

電子薬歴を導入するメリット

電子薬歴を導入することで得られるメリット

電子薬歴は普及率が高く、今後はほとんどの薬局で導入が進むと言われています。これから導入を検討されている薬局も多いかと思われますが、そもそも導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

ここでは導入を検討されている方向けに、電子薬歴のメリットをご紹介します。

薬歴データを保管する場所に困らなくなる

電子薬歴を導入することで、保管場所を気にする必要がなくなります。紙の薬歴は、例えば患者数が数千人以上となった場合、数千枚の紙のデータを保管する必要があります。スペースが広く確保されていれば問題ありませんが、今後も患者さんの数が増えるとなると、他の保管スペースを確保しなければならないなどあらゆる問題が発生します。

しかし、電子薬歴ならパソコン1台で数千人以上のデータを管理できるようになります。薬歴を保管するための大きなスペースは不要になりますし、管理も手間がかかりません。

保管する場所に困らなくなることや、管理のしやすさの面で見ると電子薬歴の導入がおすすめと言えるでしょう。

調べたい情報に素早くアクセスできる

紙の薬歴のデメリットの一つとしてあげられるのが、患者さんの情報を探す手間です。すぐに情報を出したくても、キャビネット等に保管された薬歴の中から瞬時に見つけ出すことは難しくなります。

しかし、電子薬歴ならほとんどのケースで検索機能がありますので、生年月日や氏名などを入力することで瞬時に薬歴を見つけ出すことができます。

探したい薬歴に素早くアクセスができれば、探し出す時間もかからず、業務も効率的に回すことが可能です。

在宅医療などのケースでも活用しやすい

電子薬歴になると、外に持ち出すことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、電子薬歴はタブレット端末からレセコンの薬歴や処方歴等の情報にアクセスできる特徴を持っており、在宅医療時でも問題なく情報をチェックできます。

わざわざ紙の薬歴を持ち込まなくてもチェックできる特徴を持っていますし、在宅医療時に患者さんから聞き出した内容をそのまま端末に入力することも可能です。

在宅医療はコロナの関係もあってここ数年で増えている傾向にあります。このような状況で業務を効率的に行うためには電子薬歴が必要不可欠と言えるでしょう。

災害などにも比較的強い

紙の薬歴は、例えば水に濡れてしまったり、火災が発生したり、盗難などのリスクもあったりと災害等が発生した場合にデータを失ってしまうリスクがあります。これらを防ぐためには1枚ずつコピーを取り、薬局とは別のスペースに保管しておくなどの方法がありますが、手間もかかるため現実的ではありません。

一方、電子薬歴は電子データでありながら災害等にも比較的強いメリットがあります。例えばクラウド型であれば、万が一火災等が発生し、パソコンが使えない状況になってもデータベースに薬歴が保管されているため、データを紛失することはありません。災害のみならず、水害の際にもデータを失うリスクは低いと言えるでしょう。

また、外付けハードディスク等にバックアップも取ることが可能であるため、記録したデータを守りやすくなる特徴があるのです。

災害はいつ発生するか予測が不可能であるため、万が一に備えるためにも電子薬歴への移行をおすすめします。

複数の薬局を展開していても問題なし

薬局には幅広い種類があり、1店舗だけのところもあれば複数の店舗を展開している大きな薬局等もあります。

その中でも複数の店舗を展開している場合、紙の薬歴では情報共有がしにくいといったデメリットがあります。

しかし、電子薬歴ならグループ全体で薬歴から処方歴、副作用歴などの情報を、ネット環境を通して簡単に共有することができます。

どこの薬局でも同じ情報を閲覧できるため、例えば患者さんが別のグループ薬局に訪れたとしても瞬時に対応ができるのです。

情報共有のしやすさは電子薬歴でしか得られない大きなメリットとなるので、特に複数展開している薬局等は導入がおすすめと言えるでしょう。

電子薬歴は読みやすくミスも起こりにくい

紙の薬歴は、担当する薬剤師がペンを用いて記入しなければなりません。誰でも読めるような薬歴なら問題ありませんが、中には本人にしか判別できないような筆跡で記入されているケースも少なくありません。

このようなケースでは他の薬剤師がチェックしたときに正確な情報を共有できないことにもなるため、最悪の場合は大きなミスにつながることも少なくありません。

しかし、電子薬歴なら誰が記入しても同じとなりますので、本人しか読み取れないような筆跡になることはありません。誰が見ても読める薬歴になりますので、ミスも発生しにくく安全と言えるでしょう。


このように、電子薬歴は医療分野において業務の効率化を図ることから、医療DXに位置付けられます。
医療DXについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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電子薬歴の選び方で失敗しないためのポイント

電子薬歴の選び方

現在、電子薬歴には幅広い種類があり、どれを選ぶべきか悩まれている方も多いでしょう。ここでは、電子薬歴の選び方で失敗しないためのポイントを紹介するので、選び方がよくわからず困っている方は参考にしてください。

クラウド型とレセコン一体型を把握しておく

まず、大きく分けて電子薬歴にはクラウド型とレセコン一体型の2種類があります。最近では両者の特徴を持ったハイブリッド型もあります。

その中でもクラウド型とレセコン一体型について紹介しますが、クラウド型はインターネット上にある保管場所に薬歴データを保存できるタイプです。

インターネット上であることから、サーバーなども用意する必要がありません。基本的には利用料金のみ支払うことでサービスが利用できるため、導入コストが比較的安価であることがメリットとしてあげられます。

そのため、できる限り初期費用を抑え、一定の料金を支払い続けるタイプを選びたいと思われている方は、クラウド型の電子薬歴がおすすめです。

一方、レセコン一体型はオンプレミス型ともいわれており、薬局にサーバーを設置して使用するタイプです。特徴としてはオフラインでも使えるといったメリットがありますが、台数が多いと費用も高くなるといったデメリットもあります。

ただし、セキュリティはより強固なものになりますので、セキュリティを強化したいと考えている場合は、レセコン一体型がおすすめです。

使いやすさを重視する

電子薬歴は、それぞれの種類によって使いやすさが全く異なります。例えば機能面に優れているものでも、操作がしにくい電子薬歴は導入後に後悔する恐れもあります。

機能面やコストも選ぶうえで重要なポイントとなりますが、在籍する薬剤師が使いやすいと感じる電子薬歴の導入が最もおすすめです。

使いづらい電子薬歴は薬局内で不満が発生する要因の一つとなるため、できれば操作性をチェックしてから導入を検討すると良いでしょう。

サポート体制もチェック

これまで紙の薬歴で業務を行っており、初めて電子薬歴に移行する場合はサポート体制も重視することをおすすめします。

特に機械操作に慣れていない方が導入すると、慣れるまでに相当な時間がかかることが予想されます。

サポート体制が整っていないと使い慣れることができず、逆に業務の妨げになる恐れもあるため、サポート体制が整っている電子薬歴を選ぶことがおすすめです。

まとめ

今回は電子薬歴について詳しく解説しました。電子カルテと比べても普及率が高く、薬局にはなくてはならない存在となっています。

電子薬歴には幅広いメリットがありますので、紙の薬歴からの脱却をしたいと思われている方は、ぜひ導入について検討してみてください。


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