電子カルテの三原則とは?厚生労働省のガイドラインを徹底解説

  • 2024年4月30日
  • 2024年4月30日
  • コラム

電子カルテは、従来まで手書きで記載していた診療記録を電子媒体に記録するもので、ここ最近では幅広い医療機関で導入されるようになりました。

紙のカルテに比べると業務効率を大幅に向上させることができ、なくてはならないシステムとなっていますが、取り扱いには注意も必要です。

実際に電子カルテは、導入にあたって守らなければならないことも多く、特に医療機関において必ず守るべき項目としては、厚生労働省が制定する「電子保存の三原則」です。しっかりと内容を理解しておくことで大きなトラブルを防げるので、電子カルテの導入を検討されている医療機関は、事前にチェックしておくことが大切となります。

今回は、電子カルテの三原則について、厚生労働省のガイドラインを徹底解説しますので、興味がある方は参考にしてください。


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電子カルテの三原則とは?

電子カルテの三原則

電子カルテの三原則とは、具体的に下記の3つを言います。

  • 真正性
  • 見読性
  • 保存性

上記の内容は厚生労働省が求めている三原則となりますが、電子カルテは業務効率に大きく役立つ反面、取り扱い方を間違えると大きなトラブルが発生する可能性も考えられるため、紙カルテよりも厳しいルールが定められています。

これらのことから電子カルテの三原則はしっかりと守る必要がありますが、もっと詳しく知りたい方のために、下記では三原則の内容について一つひとつ解説していきます。

真正性

真正性の考え方については、厚生労働省のガイドラインでは下記の考え方が記載されています。

真正性とは、正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去及び

混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であることである。

厚生労働省:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

上記ガイドラインの真正性をまとめると、「虚偽入力、書換え、消去及び混同の防止」「第三者から見て作成の責任の所在が明確であること」が集約されています。下記では集約された2つの内容について詳しく紹介するので参考にしてください。

虚偽入力・書換え・消去及び混同の防止

「虚偽入力、書換え、消去及び混同の防止」は、電子カルテに記録された情報が正確で信頼できるものであることを確保するための原則です。例えば、誰かが故意に間違った情報を入力したり、間違えて情報を変えたり消したりすることを防ぐためのガイドラインとなります。

第三者から見て作成の責任の所在が明確であること

「第三者から見て作成の責任の所在が明確であること」とは、電子カルテに記録されている情報が、誰によってどのように作成されたかがわかるよう記入する必要があることを意味しています。例えば、ある医師が患者さんの診察を行い、カルテに記入した場合、その内容が担当した医師であることが確認できるよう、必ず守る必要があります。

見読性

次に見読性についてですが、考え方については厚生労働省のガイドラインでは下記の考え方が記載されています。

見読性とは、電子媒体に保存された内容を、「診療」、「患者への説明」、「監査」、「訴訟」

等の要求に応じて、それぞれの目的に対し支障のない応答時間やスループット、操作方法

で、肉眼で見読可能な状態にできることである。

厚生労働省:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

上記の見読性の内容を重要な部分だけまとめると、「情報の内容を必要に応じて肉眼で簡単に確認できる状態にする」ことがガイドラインにまとめられています。

詳しい内容は下記でも説明しているので参考にしてください。

情報の内容を必要に応じて肉眼で簡単に確認できる状態にする

見読性は、当たり前のことのように思えますが、電子カルテの場合は紙カルテとは異なり、「何らかのアプリケーションが必要になることがある」等、管理方法によっては紙カルテよりも見読しにくくなることがあります。

また、停電やシステム障害によっても見読できなくなることがあるため、これらのトラブルを防げるようバックアップを取るなどデータを守る必要があります。

保存性

最後に保存性についてですが、考え方については厚生労働省のガイドラインでは下記の考え方が記載されています。

保存性とは、記録された情報が法令等で定められた期間にわたって真正性を保ち、見読

可能にできる状態で保存されることをいう。

厚生労働省:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

上記の保存性は、まとめると「診療録等の情報を電子的に保存する場合に、保存性を脅かす原因をなくすために、それぞれの原因に対する技術面及び運用面での各種対策を施す必要がある」ことがガイドラインにまとめられています。

詳しい内容は下記でも説明しているので参考にしてください。

保存性を脅かす原因

そもそも保存性を脅かす原因としては、電子カルテの場合下記の内容があげられます。

・ウイルスや不適切なソフトウェア等による情報の破壊及び混同等

・不適切な保管・取扱いによる情報の滅失、破壊

・記録媒体、設備の劣化による情報の読み取り不能又は不完全な読み取り

・媒体・機器・ソフトウェアの不整合による情報の復元不能

・障害等によるデータ保存時の不整合

上記の内容が主な脅威となり、対策をしていないと真正性が保たれた状態で保存することが難しくなるため、対策が必要になります。

あらゆる脅威に対する対策

厚生労働省が記載するガイドラインにある保存性を守るためには、下記の対策が必要になります。

・ウイルス又はバグ等によるソフトウェアの不適切な動作により、電子的に保存された診療録等の情報が破壊されるおそれがないよう、セキュリティを強化する必要がある。

・電子カルテを適切に保存するため、サーバ室等の温度、湿度等の環境を適切に保持する必要がある。

・サーバ室等への入室は、許可された者以外が行うことができないような対策を取る

・記録媒体や記録機器の劣化特性を考慮して、劣化が起こる前に新たな記録媒体や記録機器に複写する必要がある等。

電子カルテは紙のカルテに比べてもあらゆる脅威に対する対策が必要になるため、導入を検討している医療機関は保存性に対する対策も忘れずに行いましょう。


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電子カルテの三原則を守らないとどうなる?

電子カルテの三原則を守る理由

ここまで電子カルテの三原則について、重要な部分を解説しました。電子カルテを導入する際には、厚生労働省が作成しているガイドラインに沿って行う必要がありますが、そもそも電子カルテの三原則は、必ずしも守らなければならないガイドラインなのでしょうか。

もし、電子カルテの三原則を守らない場合、結論から言うと法律で決められている内容ではないため、罰則は存在していません。

ただし、ガイドラインを守らずに電子カルテの運用を行うと、万が一データを失ったり、正しくない管理方法を行ったりすることで法律に反してしまうことがあります。

この場合は、罰則を科せられてしまう恐れがあるため、トラブルにならないためにも厚生労働省が作成する電子カルテの三原則は守るべきと言われているのです。

ガイドラインには複雑な内容も記載されていますが、しっかりと守ることで正しい電子カルテの運用が可能になるので、導入を検討されている事業者は、事前にチェックしておくことをおすすめします。

電子カルテを安全に保存するためには?

電子カルテを安全に保存するためには

厚生労働省のガイドラインを守り、電子カルテを安全に保存するためには、大きく分けて2つの内容があげられます。

データのバックアップを取る

データのバックアップは、情報を別の場所にも保存する方法の一つであり、もし元のデータを失ったとしても安全に情報を守る唯一の方法となります。

特に医療分野においては、電子カルテの情報が失われた場合、適切な医療を提供できなくなる可能性があります。それらを防ぐためにはファイルのバックアップを必ず取っておく必要があります。

電子カルテを導入する際には、バックアップの取りやすさなどもチェックしながら選定すると、手間を省けるだけでなく安全性も高めることができます。

電子カルテの中には自動的にバックアップを取るものまであるので、手動の手間をなくしたいと考えている人は、選ぶ際にバックアップの取りやすさもチェックしておきましょう。

自院に最適な電子カルテを導入する

電子カルテには大きく分けると、オンプレミス型のものとクラウド型の2種類が存在しています。

オンプレミス型は院内ネットワークを利用するため、ウイルスなどの被害に遭いにくいのが特徴です。

デメリットとしては、災害等が発生した場合、院内のシステムがダウンしてしまうと電子カルテも使えなくなる恐れがあります。

また、電子カルテにはクラウド型もあり、クラウド型ならインターネット経由としてサービス提供元のサーバを経由します。災害時でもさまざまな端末からアクセスが可能となり、診療情報を閲覧できるのはメリットと言えるでしょう。

一方、デメリットとしてはインターネットを経由するため、回線トラブル等が発生すると電子カルテにアクセスできない問題も発生します。

どちらのタイプにもメリットやデメリットがあり、それぞれの医療機関で環境も異なるため、比較検討しながら自院に最適な電子カルテを導入しましょう。


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まとめ

今回は、電子カルテを導入するにあたって知っておきたい電子カルテの三原則について紹介しました。電子カルテの三原則は、しっかりと守ることで安全にカルテ情報を守ることができるため、導入する際には必ず守るようにしましょう。

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