医療DXはなぜ推進するのか?工程表についても併せてご紹介

  • 2024年5月31日
  • 2024年5月28日
  • コラム

医療分野のデジタルトランスフォーメーションについて、政府は医療DX推進本部を立ち上げ、さまざまな施策を推進しています。今後は、質の高く、持続可能な医療の提供に向け、医療のデジタル化の重要性は高まっていくでしょう。

本記事では、そもそも医療DXとは何かの概要について紹介し、医療DXをどのように進めていくかの工程表について詳しく解説します。医療DXの今後の動向について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


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そもそも医療DXとは?なぜ推進するのか

医療DXはなぜ推進するのか

医療DXについて、厚生労働省の資料では下記のような記載がされています。

“医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えることと定義できる。”(医療DXについて

つまり医療DXとは、医療に関連する全ての情報やデータを共通のプラットフォーム上で活用できるようにすることで、医療の質を向上させることを目的としています。医療DXは、従来の医療の在り方を変革し、今後はより効率的で効果的な医療の提供を実現できるよう、進めていく予定となっています。

医療DXを推進する理由として詳しく解説すると、下記5つの項目があげられますのでそちらも参考にしてください。

➀医療の質の向上

医療DXは、医療データの一元管理と共有と通して、診療や治療の質を向上させることを目的としています。具体的には共有のデータ基盤を活用することで、患者全体の医療履歴を把握しやすくなり、より正確で迅速な診断と治療が可能になります。

➁業務効率の向上

デジタルツールを活用することで、医療スタッフの仕事が今まで以上に効率的になります。例えば、電子カルテを活用することで、紙のカルテを探す手間がなくなり、パソコンやタブレットを使って患者さんの情報を簡単に見つけられるようになります。従来のアナログ的な管理をデジタル化することも、医療DXを推進する理由の一つとなっています。

➂遠隔医療の推進

遠隔医療の推進も、医療DXを進める理由の一つです。遠隔医療が可能になれば、どこに住んでいても質の高い医療サービスを提供できるようになります。特に最近では新型コロナウイルスの流行もありましたので、このような状況でも適切な診療を受けられるようにするため、医療DXの推進が必要とされています。

➃医療データの安全性向上

医療DXを推進する理由の一つとして、医療データのセキュリティの強化も含まれています。デジタル化により、クラウドベースのシステムを導入することで、データの定期的なバックアップと高度なセキュリティ対策を実現できます。これにより、データ漏洩や紛失のリスクが今まで以上に最小限に抑えられるため、患者さんのプライバシーと安全も確保できるようになります。

➄医療研究の進展

最後に医療DXを推進する理由の一つとしてあげられるのが医療研究の進展です。医療DXの実現により、これまで以上に広範囲なデータを分析できるようになることで、新しい治療法や薬の開発が期待されています。研究によってこれまでにはない治療法や薬が開発されれば、病気に対してより効果的な治療方法が見つかり、患者さんに対する医療の質を向上させることが可能です。


医療DXについての詳しい概要とメリット、安く導入するコツに関しましては、以下の記事で詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。

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医療DXのメリットについて

医療DXの工程表とは?

医療DXの工程表

厚生労働省資料:医療DXに関する工程表

医療DXの工程表とは、簡単に説明すると医療DXをどのように進めていくかの工程表のことです。厚生労働省が公開している資料の一つであり、確認することで今後どのように医療DXが進められていくのかがわかります。

厚生労働省が公開している医療DXの工程表には、大きく分けて下記4つの取り組が記載されています。

  • 健康保険証の廃止
  • 全国医療情報プラットフォーム
  • 電子カルテの標準化
  • 診療報酬改定DX

4つの項目について、それぞれ詳しく紹介するので参考にしてください。

健康保険証の廃止

医療DXの工程表に含まれる重要な取り組みの一つが、健康保険証の廃止とマイナンバーカードとの一体化です。これは、医療サービスの効率化とデジタル化を推進するための重要なステップとして進められ、具体的に健康保険証の廃止は2024年秋を予定しています。

そもそもなぜ廃止する流れとなったのかについてはいくつかの理由があるとされていますが、その中の一つにプラスチックカードの保険証では手間とコストがかかるだけでなく、紛失や偽造のリスクも伴うためです。

マイナンバーカードと一体化することで、これらの問題を解消し、より安全で効率的なシステムを構築することが目的となっています。

全国医療情報プラットフォーム

全国医療情報プラットフォームは、医療DXの中心的なプロジェクトであり、全国の医療機関、薬局、患者を一元的に繋げるためのプラットフォームです。

全国医療情報プラットフォームは、患者の診療記録や検査結果、処方情報などを一元管理でき、患者の医療データが全国の医療機関で即時参照可能となるため、診療の連携がこれまで以上にスムーズになるメリットがあります。

その他にも高度なセキュリティ対策が行われており、データ暗号化やアクセス権管理、定期的な監査など、プライバシー保護を徹底しているため、安全に共有することが可能になります。

全国医療情報プラットフォームは、2025年春までに全国の医療機関と薬局で導入される予定です。現在、政府と関係機関はシステムの開発とテストを進めている段階であり、既に導入準備が進行中です。

また、自治体と医療機関、介護事業所との連携強化も図られており、将来的には地域医療の一体化まで目指しています。

全国医療情報プラットフォームは、医療DXの実現に向けた重要なステップであるため、今後の医療システム全体の革新につながるとされています。

電子カルテの標準化

医療DXの工程表にある電子カルテの標準化は、全国の医療機関で使用される電子カルテの形式や仕様を統一するための取り組みです。電子カルテには幅広い種類がありますが、形式や仕様を統一することで、異なる医療機関でも情報共有がスムーズに行えるようになるメリットがあります。

具体的な電子カルテの標準化の取り組みとしては、電子カルテの導入以外にデータフォーマットの統一があげられます。患者譲歩の入力項目や形式を統一することで、どの医療機関でも同じ形式でデータを管理できるようになるため、スムーズな共有が可能になります。

また、インターフェースの標準化も行われる予定です。共通のインターフェースの開発により、情報のリアルタイム共有を実現できます。

現在、電子カルテの標準化は既に進められており、具体的な仕様やガイドラインを策定しています。2025年春までには全国の医療機関で標準化された電子カルテが導入される予定となっており、現在導入がされていない医療機関においても、2030年までを目標に導入が進められる予定です。

電子カルテの標準化に合わせたシステムや、電子カルテの導入には医療機関にかかるコスト的な負担も大きくなりますので、できる限り早めの対策を講じることをおすすめします。


電子カルテの標準化に関しましては、以下の記事で詳しく解説していますのでよろしければご覧下さい。

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電子カルテの標準化に関する概要

診療報酬改定DX

医療DXの工程表にある診療報酬改定DXは、診療報酬の改定プロセスをデジタル化することを目的としているものです。

診療報酬改定DXが進むと、デジタル化により自動化と正確性が向上します。これにより、改定作業における負担が大幅に軽減されますので、ミスなども減少する特徴があります。

また、透明性の確保もされますので、改定内容や基準が明確となり、医療機関や患者にとって理解しやすくなるメリットもあります。

具体的な取り組みとしては、診療報酬の点数票を電子化し、デジタルプラットフォーム上で管理します。これにより、改定内容の変更や更新がリアルタイムで反映され、いつでも最新の情報をチェックできるようになります。その他にもマスターデータの開発と改善や、診療報酬システムの連携も取り組みとしてあげられています。

診療報酬改定DXの実施は既に進められており、2025年春前には完全に導入がされる予定となっています。

医療機関に求められる対応とは?

医療機関に求められる対応

ここまで医療DXの工程表について詳しく紹介しましたが、医療DXが進められるにあたって医療機関に求められる対応は何があげられるのでしょうか。

まず1つ目にあげられるのが電子カルテシステムの導入です。医療DXにはなくてはならないシステムとなっており、各医療機関は電子カルテの導入が急がれます。

電子カルテシステムの導入にあたってはコストがかかりますが、できる限りコストを抑えたい場合は、「IT導入補助金」などの活用もおすすめです。IT導入補助金なら、電子カルテの導入にかかる本来の費用の半額で導入できるケースもあるため、コストの負担を抑えられます。

また、医療DXでは患者情報の電子化を実施することになるため、情報漏洩を防ぐためにもセキュリティ対策が必要不可欠です。特に電子化をするにあたって専門業者に依頼するケースがほとんどですが、できる限り信頼のおける業者を選定するなど慎重に対応する必要があります。

まとめ

今回は、医療DXの概要から工程表に含まれる内容まで幅広く紹介しました。医療DXは本格的に進められており、今後は医療のあらゆる部分でDX化が進みます。

特にその中でも電子カルテの導入が必須となりますが、現在であれば「IT導入補助金」を活用できるため、できる限りコストを抑えた導入方法を選びたい医療機関は、補助金の活用についても検討してください。

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