電子カルテの標準化とは?現状やメリットに関して詳しく解説!!

  • 2023年11月20日
  • 2024年3月5日
  • コラム

近年、医療機関ではDX化が進みつつあり、紙媒体のカルテではなく電子カルテの導入が増えています。

これから電子カルテの導入を検討している医療機関も多いかと思いますが、ここ最近では「電子カルテの標準化」が話題となっており、どのような電子カルテを導入すべきか悩んでいる方も多いでしょう。

今回は、電子カルテの導入を検討している方のために、電子カルテの標準化について詳しく紹介します。

具体的な内容から標準化によって得られるメリットなどを紹介するので参考にしてください。


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電子カルテの標準化の背景

電子カルテの標準化の背景

現在、国では「医療DX令和ビジョン2030」についての議論が進められています。その中にはさまざまな取り組みがありますが、その一つとして「電子カルテの標準化」があります。

医療DX令和ビジョン2030は、簡単に説明すると医療におけるIT化、DX化により、業務効率化など目的とした施策の一つです。

近年、幅広い分野でDX化が進んでいますが、なかなか浸透せず、課題を抱えているのが医療業界です。

そして、今後は高齢化社会がさらに進むことが予想されているため、早急に対応をしようと政府が医療DX令和ビジョン2030を進めています。

具体的に医療DX令和ビジョン2030では、下記3つの内容を進めていくことを目標としています。

1.「全国医療情報プラットフォーム」の創設

2.電子カルテの標準化

3.診療報酬改定DX

上記の中に電子カルテの標準化が含まれていますので、今回は電子カルテの標準化に焦点を当てて詳しく紹介します。

電子カルテの標準化とは

電子カルテの標準化とは、厚生労働省が指定する電子カルテの標準規格である「HL7 FHIR」規格に準拠した文書のデータ入出力ができることを指しています。

現在では各医療機関それぞれで通院する患者の医療データが蓄積されており、電子カルテの標準化の対応ができない医療機関では、これらの情報を共有することができません。

業務の効率が悪くなるなどの幅広い問題が発生するため、今後は電子カルテの標準化により、問題の解消ができるよう対策が進められています。

電子カルテの標準化で用いられる「HL7 FHIR」とは

電子カルテの標準化には、厚生労働省が指定する電子カルテの標準規格である「HL7 FHIR」規格に準拠した文書のデータ入出力ができることと記載されています。

そもそも「HL7 FHIR」とは、HL7協会によって作成された医療情報を共有するために定められた標準規格のことを言います。次世代の標準規格とも言われており、すでにアメリカ、イギリス、オランダなどでは活用されています。

HL7 FHIRは診療記録などの患者に関わるデータ以外にも、医療関連の業務管理や公衆衛生に関するデータなどすべての情報共有ができるよう設計されています。

HL7 FHIRはすでに普及しているシステムを導入するだけなので、新しく構築する必要もありません。そのため、懸念されている導入の手間を軽減できるといった点もメリットとしてあげられています。

電子カルテの標準化のメリット

電子カルテ メリット

今後、医療業界では電子カルテの標準化が進められていくことが予想されますが、そもそも標準化することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

システム連携がしやすくなる

電子カルテにはもともとルールのようなものはなく、それぞれの医療機関で好みの電子カルテをオーダーメイドしたり、現在ではオンプレミス型以外にもクラウド型が登場したりと自由度が高いのが特徴です。

自由度が高い規格で開発された電子カルテが多いため、データ入出力に関しては標準化されていないものがほとんどです。その結果、現在ではベンダーの異なる電子カルテ間での情報共有や交換が難しくなっているのが現状です。

電子カルテの標準化が進められると、HL7 FHIRが必ず導入されることになるため、情報共有や交換が容易になります。どのようなシステム間でも連携が簡単になるため、業務効率も良くなり、スムーズな医療を進められるようになるのが特徴です。

電子カルテの導入費用を抑えられる

厚生労働省では、電子カルテの標準化にあたり、オンプレミス型ではなくクラウド型の電子カルテの導入を推奨しています。

オンプレミス型と比べて導入にかかる初期費用が高額となることもありませんし、院内にサーバーを設置する必要もなくなります。

電子カルテにかかるコストを大幅に抑えることが可能になるため、どのような医療機関でも導入がしやすくなるといったメリットもあります。

導入から利用開始までがスムーズ

電子カルテの標準化により、クラウド型の電子カルテを導入する場合は導入から利用開始までをスムーズに行えます。

オンプレミス型は、自由度が高い反面、オーダーメイドでの構築となるケースがほとんどなので、導入から利用開始まで長いのがデメリットです。

利用開始までがスムーズなクラウド型であれば、紙のカルテからもすぐに脱却できます。実際に医療機関ではクラウド型電子カルテの導入が増加傾向にあり、その導入のしやすさから今後も普及率が上がっていくのではないかと言われています。

院内外の情報共有がスムーズ

通常の電子カルテシステムは、院内での情報共有がしやすいといったメリットがありました。紙のカルテよりもスムーズな業務が可能になるため、それだけでも魅力的です。

しかし、電子カルテの標準化が適用されると今よりも情報共有がスムーズになるメリットがあります。

電子カルテの標準化にはHL7 FHIRが導入されることになり、HL7 FHIRは医療機関同士でデータ交換を行うための標準規格です。これにより、例えば院内の検査システムや放射線システムとの連携もスムーズに行えるようになります。

また、今後は診療情報提供書や退院サマリ、電子処方箋などの標準化も考えられているため、他の医療機関に受診、紹介等の際に以前よりも情報共有が簡単になるメリットがあります。

電子カルテの標準化は今後どのように進められていく?

日本では電子カルテの標準化に向けて積極的に取り組んでいますが、今後はどのようなスケジュールで進められていくのでしょうか。

今現在スケジュールの予定となっている内容は下記の通りとなっているので、電子カルテの導入を検討されている医療機関は参考にしてください。

電子カルテ スケジュール

電子カルテの標準化は医療機関で浸透していない?

電子カルテ 医療機関

国単位で見ると電子カルテの標準化に向けて幅広い取り組みを行っていますが、各医療機関で情報が浸透しているかというと、そうではないのが現状です。

実際に電子カルテの普及率を見てもわかりますが、すべての医療機関で導入されているわけではありません。クリニックに関しては約半分程度の普及率となるなど、まだまだ導入が進んでいない医療機関も多いのです。

ここでは電子カルテの標準化が医療機関で進んでいない理由についても紹介していきます。

メーカーによって規格が揃っていないから

電子カルテの標準化を進めるためには、医療機関ではなく販売、開発元である企業が共有方法を揃える必要があると言われています。

それぞれのメーカーで規格がバラバラとなると、どの電子カルテを導入すればいいのか医療機関としてはわからなくなってしまいます。

そのため、国としては今後、各メーカーの規格をしっかりと揃えていくことが電子カルテの標準化に向けた第一歩として重要だと言われています。

導入コストの問題

電子カルテの標準化にはクラウド型が推奨されているため、導入コストは抑えられる特徴があります。

しかし、それでも紙のカルテに比べるとコストはかかりますし、月々の利用料も発生するのでコストの問題で悩んでいる医療機関は多いと言われています。

負担が大きくなるのは確実と言われていますが、国では負担軽減のための対策なども考えています。

導入コストの問題を解消する方法については次の見出しで紹介しているのでそちらを参考にしてください。

電子カルテの標準化に向けてコストの問題を解消する方法

電子カルテ 標準化コスト

電子カルテの標準化に向けて、コストの負担が大きいと感じている医療機関は、補助金の活用について検討してみてください。

補助金は原則返済不要なお金となり、融資と比べても負担が小さくなるメリットがあります。

電子カルテの導入に活用できる補助金については、下記の2つとなっているので参考にしてください。

医療情報化支援基金の活用

医療情報化支援基金は、電子カルテの標準化に向けて中小規模の医療機関を支援するための補助金です。

活用することで電子カルテの導入にかかる経費を支援してもらえるため、コストの負担を大幅に抑えられるメリットがあります。

医療情報化支援基金は医療機関のみが活用できる補助金の一つとなっており、通常の補助金と比べて難しい要件等もないので、電子カルテの標準化に向けて導入を検討されている医療機関は、活用してみてはいかがでしょうか。


医療情報化支援基金に関しては、下の記事で詳しく説明していますので是非ご覧ください。

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IT導入補助金の活用

IT導入補助金は幅広い業界で活用できる補助金の一つです。中小企業が生産性向上のためにITツールの導入をする際に受け取ることのできる補助金となっており、電子カルテもITツールに含まれています。

医療情報化支援基金と比べると申請など手間がかかることもありますが、補助額の規模も比較的大きく、導入の負担を抑えられる補助金の一つなのでおすすめです。


電子カルテの導入で使えるIT導入補助金については、下記の記事でも詳しく紹介していますので、そちらも併せてご確認ください。

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まとめ

現在、政府が進めている医療DX令和ビジョン2030の柱の一つとして対策が進められているものの一つに電子カルテの標準化があります。

電子カルテの標準化ができれば、情報共有がスムーズになったり、医療業界の業務効率化につながったりとさまざまなメリットがあります。

現在であれば電子カルテの導入を支援する補助金も多いので、コスト面で悩まれている方は補助金の活用も検討して負担のない形で導入してみてください。


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