電子薬歴システムの普及率は?概要や導入メリット・課題について解説

  • 2024年4月26日
  • 2024年4月23日
  • コラム

増え続ける薬歴を、効率よく安全に管理できる方法をお探しの方も多いのではないでしょうか。紙タイプで保管することに限界を迎えている薬局におすすめなのが、電子薬歴システムの導入です。

電子薬歴があれば、薬歴の管理がしやすいだけではなく、業務効率もアップするなど幅広いメリットが得られます。

今回は、電子薬歴の導入を検討している薬局向けに、電子薬歴の概要から普及率、導入メリットや課題における部分まで紹介するので、ぜひ参考にしてください。


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電子薬歴とは

電子薬歴とは

電子薬歴とは、薬剤服用歴の管理を電子化し、調剤薬局等での使用が想定されたシステムのことです。

従来までは紙に手書きで薬歴を記載する流れが一般的でしたが、電子薬歴が登場したことにより、パソコンやタブレット端末等で電子データを記録することが可能になりました。

電子薬歴で管理できる内容

電子薬歴は、薬歴記録のみを管理するものではなく、幅広い機能が含まれています。実際にはシステムによって機能は異なりますが、一般的には下記の機能が備わっているため、幅広い管理に使用することが可能です。

  • 患者情報の管理
  • 薬歴記録
  • 服薬指導管理
  • 在庫管理
  • レセプト作成
  • 報告書作成
  • データ分析
  • 患者さんとのコミュニケーション機能
  • セキュリティ機能

上記が基本的な機能となっており、薬歴記録以外にも幅広い役割を担ってくれます。電子薬歴一つで薬局業務に関わるデータの管理を一括で行ってくれるものまであるため、電子薬歴はなくてはならないシステムとして浸透し始めています。


電子薬歴と電子カルテの違いに関する詳しい内容に関しましては、以下の記事を参考にしてください。

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電子カルテと電子薬歴の違い

電子薬歴の種類

電子薬歴の種類

電子薬歴を提供するサービスは幅広くあり、それぞれ種類なども異なります。ここでは、具体的に電子薬歴の種類についても下記で紹介しているので、導入を検討されている薬局は参考にしてください。

電子薬歴特化タイプ

電子薬歴特化タイプは、薬歴の作成や服薬指導といった薬剤師の日常業務の効率化に重点を置いた電子薬歴のことです。

薬剤師の負担を軽減できるシステムとして人気が高く、データ入力の手間なども減らせるためヒューマンエラーの防止等にも役立ちます。特に薬歴の作成をもっと効率よくできないか考えている場合は、電子薬歴特化タイプがおすすめです。

幅広い業務に対応している電子薬歴

電子薬歴には、薬歴の作成等のみならず組織全体の運営効率化や、サービス品質の向上にも強いシステムが存在しています。

具体的には薬歴作成はもちろんのこと、在庫管理や経営データ分析、顧客満足度の向上につながる機能などが備えられている電子薬歴のことです。

それらの機能を使いこなすことができれば、より効率の良い業務が実現できることになるため、ここ最近では機能が豊富な電子薬歴を導入している薬局も増えています。

レセコン一体型の電子薬歴

レセコン一体型の電子薬歴は、薬歴管理はもちろんのこと、診療報酬計算までもカバーできる電子薬歴のことです。

レセコン一体型のシステムを導入することで、患者さんの治療履歴の管理だけではなく、請求におけるミスや、請求処理の迅速化にも役立ちます。

そのため、電子システムを導入していない薬局では、レセコン一体型の電子薬歴を導入することで、多くの悩みを解決できます。

ただし、既にレセコンを使用している場合は、薬歴特化型の電子システムを導入し、レセコンシステムと連携する方法もあるので、それぞれの薬局で最適な方法の選択が大切となります。

電子薬歴の普及率はどのくらい?

電子薬歴の種類

厚生労働省が発表している「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書

https://www.mhlw.go.jp/content/000509233.pdf)によると、薬局におけるICTシステムの中でも電子薬歴の普及率は、83.6%と高い数値が出ていました。

8割以上の薬局で電子薬歴が導入されており、多くの薬局で導入されていることが予想されていた自動分包機よりも20%以上高く導入がされていたため、この結果は多くの薬局で電子薬歴の重要性を認識していることがわかります。

ただし、残りの約2割の薬局では導入されていないことがわかっているため、すべての薬局で導入されるにはまだ時間がかかりそうです。

医療データの電子化における3つのポイント

電子化のポイント

電子薬歴の普及率を見ても、8割以上の薬局で導入が進んでいるため、これから導入を検討されている薬局も多いのではないでしょうか。しかし、電子薬歴は医療データの電子化となるため、これまで紙のタイプで薬歴を管理していた場合は、移行するにあたって注意したいポイントがあります。それが「電子保存の三原則」です。

電子薬歴に求められるのは下記の3つがありますので、移行する際には必ずチェックしておきましょう。

真正性

電子保存の三原則のうち「真正性」とは、保存されている電子文書や電子データが信頼できるものであることを保証する原則です。具体的には、電子データが作成または受信された時点の状態を正確に反映していること、そしてそのデータが改ざんされていないことを意味します。

電子保存における真正性の確保は、データを利用する全ての利用者、管理者、法的機関などにとって信頼性の保証となり、データベースや記録システムの整合性と安全性を高めるために不可欠なので、必ず守らなければならない項目となります。

見読性

電子保存の三原則の中で「見読性」とは、保存された電子データや文書がいつでも読み取り可能であることを保証する原則です。これには、データが視覚的にアクセス可能で理解できる形式で保持されることが必須となります。

電子データや文書の見読性が確保されていると、時間が経っても情報が失われることなく、必要なときに正確に取り出せます。特に薬歴は長期にわたって保存する必要があるため、見読性が必要不可欠となります。

保存性

電子保存の三原則の中で「保存性」とは、保存された電子データや文書が長期間にわたって安全に保持され、必要な時にアクセスできる状態を維持することを確保する原則です。この原則は、データが時間の経過と共に損なわれたり、技術的な陳腐化によって利用不可能になったりすることを防ぐために重要な内容となっています。

薬歴情報が流出すると、法律によって罰せられる可能性があるため、長期間にわたって安全に保管するためにも保存性の部分をしっかりと守りながら電子薬歴を導入する必要があります。


医療DXに関する詳しい内容に関しましては、以下の記事を参考にしてください。

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医療DXのメリットについて

電子薬歴を導入するメリットとは

電子薬歴 メリット

電子薬歴の普及率が高い理由としては、導入することで幅広いメリットが得られるからです。ここでは大きく分けて3つのメリットを紹介するので、これから導入を検討されている薬局は、参考にしながら導入してみてください。

災害や盗難に強い

電子薬歴は、あらゆる災害や盗難にも強い特徴を持っています。電子データになるため、災害や盗難に弱いのではと思われる方も多いかもしれませんが、外付けハードディスクや、クラウド上にバックアップができるため、例えば火災などの被害に遭ったとしてデータが失われることを防げます。

一方、紙の薬歴は物理的な障害に弱いため、電子薬歴に比べるとデータ紛失のリスクは高くなります。このように、災害や盗難にも強いことがあげられるため、多くの薬局で電子薬歴が導入されています。

保管場所を必要としない

電子薬歴は、保管場所を必要としないのが大きなメリットと言えます。紙の薬歴は保管スペースが必要になり、スペースがない場合は外部での保管も検討しなければなりません。特に薬局では大規模なスペースを設けているところは少ないので、保管スペースを気にしない電子薬歴は選ばれている理由の一つとも言えます。

また、薬局によっては患者さんの薬歴の数が数千、数万人にも及ぶことがあります。これらをいつでもスムーズに閲覧するためには、簡単に検索できる電子薬歴がおすすめと言えます。保管のしやすさ、探しやすさなどから考えても、電子薬歴のメリットは大きいと言えるでしょう。

どこにいても必要なときに薬歴を閲覧できる

電子薬歴は、PCのみならずタブレットやスマートフォン等の端末に対応しているものまであります。特にクラウド型であれば、インターネットが繋がっていればどこでもアクセスができるため、場所を選びません。

必要なときにいつでも薬歴を閲覧できるのは、業務効率にもつながるので大きなメリットと言えます。

電子薬歴は便利!だけどコストがかかる

電子薬歴 コスト

紙の薬歴に比べて電子薬歴は、ほとんどの場面でメリットの方が多くなります。しかし、唯一のデメリットとしてあげられるのが、導入にはコストがかかる点です。

電子薬歴のシステムによってかかるコストは変わりますが、無料で利用できるものはほとんどないため、コスト面で導入を躊躇してしまう薬局も少なくありません。

電子薬歴を半額で導入するには?

導入にはコストがかかるから諦めようと考えている方も多いかと思いますが、現在であれば電子薬歴を半額で導入できる方法があります。それがIT導入補助金を活用して導入することです。

IT導入補助金は現在でも利用できますし、要件等もそれほど厳しくありません。ただし、補助金は予算がなくなるなど必ずしも続くわけではないため、安く導入したい場合は、早めの申請をおすすめします。

まとめ

今回は、電子薬歴の概要から普及率、導入のメリットやデメリットについてご紹介しました。電子薬歴の普及率は高く、多くの薬局で導入されていることがわかりましたが、約2割の薬局では導入が進んでいません。その理由の一つとしてあげられるのがコストですが、IT導入補助金等を活用することで安く導入できるので、コストの負担を抑えたいと考えている場合には活用を検討してください。

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