電子カルテの保存期間とは?紙カルテとの違いはどんなところにあるの?

  • 2024年4月23日
  • 2024年4月23日
  • コラム

近年、医療機関では紙カルテから電子カルテへの移行が進んでいます。移行するにあたって、「電子カルテの保存期間はどのくらい?」「紙カルテとの違いはあるの?」と疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。

実際にカルテの保存期間は法律で決められているため、導入前には基本的な知識として必ず把握しておく必要があります。

今回は、電子カルテの導入や移行を検討されている医療機関向けに、電子カルテの保存期間について詳しく紹介します。

紙カルテの保存期間にも触れながら紹介し、注意点等も解説するのでぜひ参考にしてください。


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電子カルテの保存期間は5年間

電子カルテの保存期間について

電子カルテには保存義務があり、保存期間は5年に定められています。基本的にその期間内においてカルテを破棄することは認められていないので注意が必要です。

また、カルテ以外の診療関連記録については、3年間の保存期間が義務付けられています。診療関連記録とは、具体的に検査結果や処方記録、治療計画、看護記録、会話記録などがあげられます。

これらの記録には保存期間が決められており、適切に保存することは安全で適切な医療を提供するためにも重要です。

実際に電子カルテを保存しておくことで、患者さんの健康管理や、他の医師が以前の治療内容を把握するのに役立つだけではなく、万が一問題が発生した際の証拠としても利用できるため、適切な保存が必要不可欠になります。

保存期間の起点は?

電子カルテの保存期間は5年と定められていますが、その起点について疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。

電子カルテの保存期間の起点は、そのカルテの最後の記録日から数え始めることになります。具体的には患者さんが最後に病院を訪れた日や、最後に治療を受けた日が保存期間のスタートです。

これは、医療機関が患者さんの治療に関する情報を最新の状態で保存し続けるためのルールとして決められているので、把握しておかなければならない重要なポイントとなります。

保存期間の起点を知らずに管理していると、法律で定められている5年間の適切な保存を行うことができず、万が一の問題が発生した際にも大変です。

そのため、電子カルテの保存期間だけではなく、いつから保存し始める必要があるのかについても理解しておく必要があります。

紙カルテの保存期間との違い

電子カルテと紙カルテの保存期間の違いは、特にはありません。基本的にはどちらのタイプのカルテも法律によって5年間の保存が義務付けられており、どちらかを選択することで短くなったり、長くなったりすることはありません。

また、診療関連記録についても電子カルテと紙カルテで違いはありません。どちらも3年間の保存が必要になるため、紙カルテだから保存の年数が変わるということはありません。


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電子カルテの保存方法

電子カルテの保存期間について

電子カルテと紙カルテの保存期間について違いはありませんが、電子カルテは電子データであることから紙カルテよりも厳格に定められています。そのため、電子カルテへの移行を検討している医療機関では、データを適切に保存するための方法について理解しておく必要があります。

ここでは、電子保存について詳しく紹介するので参考にしてください。

電子保存の三原則

電子カルテの保存方法では、電子保存の三原則について理解しておくことが大切です。そもそも電子保存の三原則とは、電子データを適切に保管し、管理するために必要な3つの基本的な原則のことを言います。具体的には「真正性」「見読性」「保存性」の3つが含まれています。

下記では3つの内容について詳しく解説するので参考にしてください。

  1. 真正性
    真正性は、保存されたデータが正確であり、変更や改ざんがされていないことを確保する原則のことです。

  2. 見読性
    見読性は、どんな状況であってもデータが読み取れる形で保存されていることです。これは技術が変わっても古いデータが新しいシステムで読めるようにすることを意味しています。

  3. 保存性
    保存性は、必要なデータを簡単かつ迅速に探し出せるようにする原則のことです。データが整理され、適切な検索機能が付いていることが求められます。

これらの原則は、データを安全に保ち、必要な時にすぐアクセスができるようにするために大切なことなので電子カルテを扱う人は知っておく必要があります。

特に電子カルテには幅広い種類があり、電子保存の三原則の理解をしていないと、対応していない電子カルテを導入したときに後悔してしまいます。そうならないためにも事前に電子カルテの保存方法については理解しておくと安心です。

電子カルテへ移行した後に注意しておきたいポイント

電子カルテに移行した際の注意点

ここでは、紙カルテから電子カルテへの移行を検討されている医療機関向けに、注意しておきたいポイントをご紹介します。特に紙カルテの保存や破棄などについて紹介しているので、参考にしてください。


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移行後の紙カルテの保存はどうする?

電子カルテへ移行する場合、紙カルテの保存が法律上必要であるかと言われれば、実は保存しておく必要はありません。破棄しても基本的には問題ありませんが、できる限り保存しておくことをおすすめします。その理由としては、万が一の訴訟などに発展した場合、証拠として資料を提出することができなくなるからです。

これらの理由から、電子カルテへ移行した場合も紙カルテの保存はしておいた方が安心となります。

紙カルテを保存する場合、大きく分けると下記3つの方法がありますので、保存方法で悩まれている方は、参考にしてください。

  • 院内保管
  • 外部スペースにて保管
  • 電子化して保存

大きく分けると上記3つの方法があるので、それぞれのメリットや注意点もご紹介します。

<院内保管>

院内保管は、空きスペースがある場合に最適な方法です。しかし、紙カルテも電子カルテと同様、5年間の保存期間が必要となりますので、規模が小さい場合には収納スペースを確保できない場合もあります。

<外部スペースにて保管>

カルテの情報は、一定の基準を満たしていれば外部スペースへの保存が可能です。実際に厚生労働省では、「診療録等の外部保存について」記載されていますので、下記で詳しく紹介します。

診療録等の外部保存について:

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0729-6a.html

  • 記録が診療の用に供するものであることにかんがみ、必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこと。
  • 患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されること。
  • 外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行うこと。また、事故等が発生した場合における責任の所在を明確にしておくこと。

上記が、外部スペースに保存するための条件等になります。外部スペースにて保存する場合、やはりセキュリティ対策が徹底されている等、守らなければならないことが多いため、事前に確認しておくことが大切です。

<電子化して保存する>

政府は、医療機関における電子カルテの導入を推奨しているため、ここ最近では電子化して保存するケースが増えています。

しかし、紙カルテの電子化を手動で行うとなると、大きな手間がかかることも事実です。電子化するための方法は幅広くありますが、最近ではカルテをスキャナして取り込む方法が最も使用されています。

このように、紙カルテの保存方法は大きく分けて3つあるので、それぞれの医療機関にて最適な方法を選択しましょう。

データ化ができれば紙カルテは破棄しても問題なし

紙カルテを保管スペースに保存しておくと、スペースの確保が必要になりますし、外部に保管する場合はコストもかかります。そのため、データ化して保存を検討する医療機関が多いかと思いますが、データ化した場合、紙カルテは破棄しても問題ありません。

ただし、電子カルテへと移行した瞬間に破棄できるわけではなく、データ化し、厚生労働省が出している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した電子署名・タイムスタンプが押されることで、無事に紙カルテを破棄できる流れとなります。勝手に破棄することは認められていないので注意しましょう。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン:

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html

データ化した紙カルテを破棄する方法

データ化した電子カルテを破棄したい場合、方法としては大きく分けて下記の3つがあります。

  • 溶解
  • 粉砕
  • 焼却

上記の方法があげられますが、基本的に大量のカルテを上記の方法を使って自院で行うのは手間もかかるため現実的ではありません。

破棄する場合には、できる限り機密文書処理事業者等に委託することがおすすめです。しかし、業者を選ぶ際にはセキュリティ面は安心かなど、注意点もあるので選定の際には慎重に行うようにしましょう。

まとめ

今回は、電子カルテの保存期間や、紙カルテとの違いについて紹介しましたが、電子カルテの保存期間は5年間であり、紙カルテの場合も同じです。年数は5年間となりますが、保存する際には保存期間の起点や、電子保存の三原則についても理解しておくことで、安全な保存が可能になります。また、電化することで紙カルテは破棄が可能になるので、スペースを確保したいなどの場合は、電子カルテへと移行してから破棄をしましょう。

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