電子カルテが普及しない理由とは?普及率や電子カルテのメリットと合わせて徹底解説!

  • 2023年10月26日
  • 2024年3月5日
  • コラム

電子カルテが普及しない理由

近年、さまざまな業界でデジタル化が進み、医療機関においても電子カルテの導入などデジタル化の流れが広まってきています。

しかし、医療機関における電子カルテの普及率については、大きく増えているかというとそうではありません。普及率は比較的低く、全体に広まっていないのが事実です。

そこで本記事では、電子カルテの普及率について確認し、普及しない理由や導入のメリット、選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

電子カルテの導入について悩んでいる場合は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。


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電子カルテは普及していない?実際の普及率は?

電子カルテの普及率について、厚生労働省の調査結果では下記データのように普及率が上昇傾向にあります。

弟子カルテの普及率の推移

出典:厚生労働省

上記のデータを確認すると、病院における電子カルテの普及率は令和2年で57.2%と半数以上が導入している結果が出ています。

一方、クリニックでは令和2年の時点で49.9%と一般病院に比べて普及率は低い傾向にあります。

両者を比べると一般病院の普及率は高いですが、それでも半数程度となり、約40%程度は導入していない結果となっています。

電子カルテは紙のカルテに比べてメリットが大きく、導入しない理由はなさそうに思えますが、普及しないのには理由があるようです。

電子カルテが普及しない理由とは?

電子カルテが医療現場で普及しない

ここからは、なぜ電子カルテが普及しないのかについて理由を説明します。大きく分けて5つの理由があげられるので、なぜ導入しないのか気になっている方は参考にしてください。

使い慣れたものを使い続けたいから

電子カルテが普及しない最大の理由としてあげられるのが、「電子カルテよりも紙のカルテの方が慣れている」といった理由です。

実際にこのような意見を持っている医師は多く、特に高齢の医師の場合は紙カルテの方が慣れているため、電子カルテになることで逆に効率が悪くなると考えている方も多いようです。

また、紙カルテは病気の症状に応じてさまざまな表記が認められています。一方で電子カルテは、「医療用語・コード標準化」が推進されており、1つの病気に対して1病名のみの表現が義務付けられているのです。

今までとは記載方法が異なることも使いづらいと感じる要因の一つとなっています。

PC操作に自信がない

電子カルテになると、PC操作が中心となり、紙に記載することが少なくなります。

PC操作に慣れている方にとっては導入することでメリットに感じられますが、操作に自信がない医師にとってはかえって入力が困難になるケースも出てくるのです。

特に医師が高齢の場合はPCにあまり触れたことがない方もいるため、一から操作を学び、診察をしていくのは困難だと感じている方も多いようです。

初期投資だけではなくランニングコストもかかる

電子カルテは幅広い企業がサービスを提供しており、そのほとんどにコストがかかります。

導入時には初期費用を支払わなければならないケースもありますし、システム維持やサポートなどの保守費用、サーバー等にかかる費用などランニングコストも必要になります。

一定の固定費がかかることがあるため、負担が大きいのも電子カルテが普及しない理由の一つとしてあげられます。

また、電子カルテを利用するためにはPCやタブレット端末等も複数台用意する必要があります。コストの面であげると紙のカルテと比べて負担は大きくなるため、それらの点はデメリットとしてあげられるでしょう。

セキュリティリスクへの対策が必要

紙のカルテに関しても、管理を雑にしていれば情報漏洩などのリスクがありますが、基本的に複製や外部からの不正アクセスができないため、しっかりと管理ができていれば安全でしょう。

一方、電子カルテは複数の端末で情報共有が可能になり、どこにいても医師や職員が必要な情報を確認することが可能です。

これらは電子カルテにしかない魅力となりますが、逆に言えば不正アクセスや情報漏洩などのリスクも高まるため、セキュリティ対策が必要になるのです。

医療機関では患者さんの大切なデータを保管する必要があり、万が一漏洩してしまったら 大変です。こういったリスクも考えられるため、導入を見送る医療機関もあるのです。

災害時に活用できないリスクがある

電子カルテを導入する場合、パソコンやタブレット、インターネット環境が必要不可欠です。

つまり、災害時に停電などが発生すると電子カルテが使えない問題が発生するのです。

大きな病院であれば自家発電システムが備わっているところもありますが、そうではない医療機関であれば、導入することがかえってリスクを高めてしまうのではないかと感じてしまうこともあります。

実際に災害はいつ発生するかも予想できないため、停電のリスクを考えて導入を見送る医療機関もあるのです。

電子カルテを導入するメリット3選

電子カルテを利用する女性

ここまで電子カルテが普及しない理由について述べましたが、導入することでさまざまなメリットを獲得できるのも事実です。

実際にメリットの方が大きいと感じた医療機関では導入が進んでいるため、導入するメリットについて知りたい方は下記で紹介している内容についても参考にしてください。


電子カルテのメリットデメリットについてはこちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

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電子カルテのメリットデメリット

【電子カルテのメリット①】リアルタイムで情報共有できる

電子カルテを導入することで、リアルタイムで情報共有できるメリットがあります。電子カルテにある情報は、PCやタブレットなどで自由に閲覧することが可能です。

院内ではいつでもリアルタイムで情報をチェックすることができ、わざわざ紙のカルテを探す手間もありません。

また、スピーディにカルテを確認しなければならない状況でも、検索するだけで瞬時にカルテを出すことができるなど、効率化につながるのもメリットの一つと言えるでしょう。

【電子カルテのメリット②】保管スペースの削減

紙のカルテを使用している場合は、診療が完結した日から5年間の保存義務があるため、紙を保管するスペースが必要になります。

特に患者数が多い病院に関しては、年々保管しなければならないカルテが増え、保管スペースも増やさなければならないケースが出てきます。

一方電子カルテは、保管スペースがサーバーとなるため、紙のカルテを保管するための広いスペースを確保する必要がないのです。

また、紙のカルテと比べて劣化することもないため、常に鮮明に映されたカルテを確認できるのもメリットの一つと言えるでしょう。

【電子カルテのメリット③】業務の効率化につながる

電子カルテの導入により、院内の業務全般が効率化されます。

具体的には電子カルテを導入することで、スタッフ間での共有が簡単にできるようになります。例えば患者さんに質問されたとしても、手持ちのタブレットやPCでカルテを検索し、その場で回答することも可能です。

また、受付業務や会計業務もその場でカルテを出すことができるため、スムーズに行えるようになります。

電子カルテの導入であらゆる業務の効率化につなげられるため、スムーズな診察を実現したい場合は電子カルテがおすすめと言えるでしょう。


電子カルテの導入には補助金を利用することができます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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電子カルテの導入に利用できる補助金とは

後悔しない電子カルテの選び方

電子カルテを利用する男性

電子カルテの導入を検討する場合、どのサービスを選ぶべきか悩むケースも多いでしょう。

実際に電子カルテを提供しているサービスは幅広くあるため、後悔しないためには選び方が重要です。

ここでは選ぶうえでチェックしておきたいポイントを紹介するので、導入を検討している方は参考にしてください。

医師や職員にとって使いやすいか

電子カルテを導入する場合、コストに目が行きがちですが、まずは使いやすさをチェックしましょう。

なぜならどれだけ優れた機能を持っている電子カルテでも、実際に使用する医師や職員が使いづらいと感じてしまったら定着しないからです。

実際にサービスによってデザイン等は大きく異なります。

この点を確認せずに導入してしまうと後悔してしまうため、まずは使いやすさを重視して検討しましょう。

電子カルテを提供するサービスの中には、デモ体験を実施しているものもあります。

デモ体験ができれば実際の使い心地なども導入前にチェックでき、後悔もしにくいのでおすすめです。

サポート体制

電子カルテは紙のカルテとは異なり、完全にデジタル化となります。そのため、導入から定着までは時間がかかりますし、不明点等も出てくるでしょう。

導入をできる限りスムーズに進めるためには、サポート体制が整っているかもチェックしましょう。

サポート体制が万全であれば、万が一のトラブルにも対応してもらえますし、操作方法がわからなければ電話等でサポートしてもらえます。

また、万が一の故障でもすぐに駆け付けてくれるかもポイントとなるため、サポート体制は導入前に必ずチェックしておきましょう。

連携性を重視する

電子カルテは病院の基幹システムとなるため、導入する際には他サービスとの連携が可能かどうかチェックしましょう。

例えば会計業務においては、効率化のためにレセコンとの連携ができる電子カルテが欠かせません。

また、今後新たに他のサービスを導入するのであれば、電子カルテとの相性をチェックし、必ず連携が可能かをチェックすることが大切です。

意外と見落としやすいポイントですが、万が一連携ができないとなると不便なので、電子カルテを選ぶうえでは欠かせないポイントとなります。

コストをチェックする

最後にチェックしておきたいのがコストです。電子カルテは紙のカルテと比べてコストがかかるのが特徴です。

電子カルテのサービスによってもコストは異なるため、負担のない運用ができるかをチェックしなければなりません。

導入するにあたって初期費用はもちろん、月々発生する料金、その他PCや端末にかかる費用などもすべて考えたうえで納得した電子カルテを導入しましょう。

まとめ

今回は電子カルテが普及しない理由や実際の普及率などについて詳しく紹介しました。

電子カルテにはデメリットもありますが、導入してよかったと思えるようなメリットも幅広くあります。

しかし、電子カルテには種類も多く、よく考えずに選んでしまうと後悔するケースも多いため、選び方なども重視しながら使いやすいものを導入してみてください。


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