情報革新が進む中で、幅広い分野においてICT化が進んでいます。医療の分野でも効率的かつ質の高い医療提供体制を構築していくためには、ICTを積極的に活用することが急務とされています。
このような背景から、医療分野では令和元年に「医療情報化支援基金」が創設され、医療分野におけるICT化を積極的に支援することが発表されました。
今回は、医療機関向けに「医療情報化支援基金」とは何かについて詳しく紹介します。支援内容や対象事業などを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
メディカルツールナビでは、無料でお客様におすすめの電子カルテをご提案します。
リンク先の質問にご回答いただけますと、弊社スタッフよりおすすめツールをご案内します。
医療情報化支援基金とは
医療機関等向けポータルサイト:https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/
医療情報化支援基金とは、2019年10月に創設された制度の一つであり、医療分野のICT化を支援することが目的です。
そもそも医療情報化支援基金が創設された背景には、地域包括ケアシステムの構築があげられます。地域包括ケアシステムとは、簡単に説明すると住まいや医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるシステムのことです。
高齢者をはじめ、すべての人が快適に暮らし続けられる環境を目指すため、地域包括ケアシステムの構築に向けてさまざまな取り組みが実施されています。
その一つに医療情報化支援基金があり、医療分野のICT化に向け積極的に支援を行います。
支援内容や対象事業などについては、下記の見出しで紹介していきます。
医療情報化支援基金の対象事業とは
医療情報化支援基金の対象となる事業は、下記2つに当てはまる内容となっています。
- オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援
- 電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援
医療情報化支援基金では、オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援を行います。これは、オンライン資格確認を円滑に導入するため、保険医療機関・薬局でのシステム整備や改修等にかかる初期導入経費を支援するためのものです。
また、電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援については、国の指定する標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテシステム等の導入する医療機関での初期導入経費を補助するためのものです。
これらの内容に当てはまる事業は医療情報化支援基金の対象となり、申請をすることで基金を受け取れます。
電子カルテの導入に利用できる補助金について詳しく知りたい方は、下記の記事で紹介しているので参考にしてください。
電子カルテとは、その名の通り紙のカルテを電子化し、電子情報として一括管理、編集が可能なシステムのことです。 業務効率化や省スペース化、必要な情報をリアルタイムで確認できるなど幅広いメリットがあるため、導入を検討している医療機関も数多[…]
オンライン資格確認による医療情報化支援基金について
病院やクリニックなどの医療機関や薬局では、患者が加入している医療保険を確認する必要があります。そもそも資格確認とは、この確認作業のことを呼びます。
資格確認は、従来であれば患者の健康保険証を一時的に預かり、記号や番号、氏名、生年月日、住所などを医療機関システムに入力するというのが一般的であり、現在でもそのように対応している医療機関がたくさんあります。
しかし、この方法では一人の患者の情報を毎回入力する手間がかかりますので、受付業務の負担が大幅に増えるといった難点がありました。
このような問題を解消するためにスタートしたのが「オンライン資格確認」です。
オンライン資格確認とは、その名の通りオンラインで患者の情報をチェックできるようになる資格確認の仕組みです。
例えばマイナンバーカードに埋め込まれているICチップを読み込むことで、従来よりも簡単に資格情報を確認できるようになるというものです。
導入することでこれまで資格確認にかかっていた時間を大幅に削減でき、事務業務の負担を軽減できるといったメリットもあります。
ただし、オンライン資格確認の導入にはシステム構築が必要になるためコストがかかります。コスト面での負担を少しでも抑えたいと考えている方は、医療情報化支援基金を活用することで補助金を受け取れるので、システム構築にかかるコストの負担を抑えられます。
オンライン資格確認導入のメリット
上記でもメリットの部分について少し触れましたが、オンライン資格確認導入にはさまざまなメリットがあります。
まとめると下記のようなメリットがあるので、導入を迷われている医療機関は参考にしてください。
・受付、事務業務の手間削減
・確実な収入確保
・患者の医療情報の入手による正確な医療の提供
代表的なメリットとしては上記の3つがあげられます。
システム構築にコストがかかるという点以外では、従来よりも得られるメリットが大きいので現在導入を進めている医療機関が増えています。
オンライン資格確認の補助対象について
オンライン資格確認を導入する際には、システム構築が必要です。コストが心配に思われている医療機関も多いかと思いますが、医療情報化支援基金を活用すればシステム構築にかかるコストを大幅に軽減できます。
具体的にオンライン資格確認の補助対象については、下記の通りとなっているので参考にしてください。
補助対象 | 詳細 |
資格確認端末関係 | ・資格確認端末の購入・ネットワークインターフェースカードの購入 |
顔認証付きカードリーダー関係 | ・汎用カードリーダーを顔認証付きカードリーダーの予備として整備する場合の購入費・現物提供の対象台数を超えて購入する顔認証付きカードリーダーに顔認証機能を付加するための改修費 |
ネットワーク設定作業等 | ・ネットワーク設定作業等に係る経費・オンライン請求回線の帯域増強に係る経費 |
院内ネットワーク関連機器 | ・ルーター、スイッチングハブ、LANケーブル、ファイアウォール機器等の購入費 |
電子証明書関係 | ・オンライン資格確認用クライアント証明書の取得費 |
レセコン等の既存システムの改修に係るパッケージソフトの購入及び導入 | ・オンライン資格確認等対応版の購入またはバージョンアップに係る経費・導入費 |
その他 | ・院内および診療所にて薬剤情報および特定検診情報の閲覧のための電子カルテ等の改修に係る経費・薬局にて薬剤情報の閲覧のための調剤システム等の改修に係る経費等 |
上記のようにオンライン確認資格の補助対象は幅広く設定されています。
電子カルテシステム導入による医療情報化支援基金について
医療情報化支援基金は、電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援についても行っています。
電子カルテの導入に関する補助金は、医療情報化支援基金だけではなくIT導入補助金もあり、以前から医療機関へ導入するための取り組みが実施されていました。
そもそもなぜ、電子カルテの導入に医療情報化支援基金などがあるのかというと、普及率がそれほど高くないからです。
医療機関の規模によっても異なりますが、クリックでの普及率は49.9%と低い傾向にあります。
このような背景から、医療機関でもデジタル化を進められるよう、さまざま補助金を活用して導入支援を行っています。
電子カルテの普及率についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事でも紹介しているので参考にしてください。
電子カルテが普及しない理由 近年、さまざまな業界でデジタル化が進み、医療機関においても電子カルテの導入などデジタル化の流れが広まってきています。 しかし、医療機関における電子カルテの普及率については、大きく増えているかというとそうではあり[…]
医療情報化支援基金はどのような電子カルテでも良いわけではない
医療情報化支援基金は電子カルテの導入を支援するための制度の一つとなっていますが、電子カルテであれば何でも良いというわけではありません。
医療情報化支援基金では電子カルテの標準化において、国の指定する標準規格を用いて相互に連携ができる電子カルテを導入することを目的としています。
具体的に国が指定する標準規格はというと、下記4項目が対象です。
・情報コード
・情報フォーマット
・データ格納方法
・情報交換方式
ただし、具体的な要件は決定したわけではなく、有識者の意見を聞きながら検討されていく予定です。現状、案が出されている要件としては、下記2つが挙げられます。
➀ 医療機関間・システム間でのデータ交換に当たり、アプリケーション連携が非常にしやすいHL7 FHIRの規格を用いてAPIで接続する仕組みを実装するものであること。
➁ 標準的なコードとして、厚生労働省標準規格のうち、検査・処方・病名等の必要な標準規格を実装するものであること。
上記はあくまでも一つの案として話し合われている内容であるため、方向性については今後決まっていくものと思われます。
また、電子カルテの標準化では、標準化する範囲についても下記の内容を対象とすることが検討されています。
【診療の場面で情報連携が有用な下記の文書】
- 診療情報提供書
- 退院時サマリー(画像含む)
- 電子処方箋
- 検診結果報告書
【文書以外のデータとして下記の情報を対象】
➀ 感染症、災害、救急等の対応に万全を期すため、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤併用禁忌情報、救急時に有用な検体検査結果等の情報
➁ 生活習慣病関連の情報
【画像情報】
➀退院時のサマリー等における画像情報
デジタル化におすすめの医療情報化支援基金
ここまで医療情報化支援基金について詳しく紹介しましたが、医療情報化支援基金の活用がおすすめの人は「オンライン資格確認の導入」と「電子カルテの導入・改修」を検討している医療機関です。
医療情報化支援基金を活用すれば補助金を受け取れるため、デジタル化に必要な機器の導入コストを大幅に抑えられます。
なるべく負担を抑えて導入をしたいと考えている方は、医療情報化支援基金など補助金の活用について検討してみましょう。
まとめ
今回は医療情報化支援基金について紹介しました。ICT化の支援をするための制度となっており、医療機関がオンライン資格確認の導入や電子カルテの導入をする際におすすめの補助金となっています。
補助金は原則返済不要のお金であり、有効活用することで負担を大幅に軽減できるので、デジタル化を目指している医療機関は活用について検討してみてください。
メディカルツールナビでは、IT導入補助金を用いた電子カルテの導入支援を行っています。補助金を活用することで通常の半額でツールを導入することができます。お客様のお悩みのヒアリングをもとに最適ツールのご提案、補助金の申請支援、ツールの導入支援まで一気通貫でサポートさせていただきます。
また、初回相談は無料となっています。「補助金の対象になるの?」「どのツールが合ってるの?」など、電子カルテや補助金に関するお悩みやご相談のある方はお気軽にお問い合わせください。