医療機関向けの「病院診療デジタル推進事業補助金」について徹底解説します!

日本ではデジタル化が進むにあたって、電子カルテを導入する医療機関が増えています。紙のカルテから電子カルテへと移行することで、業務効率化につながったり、ミスの減少につながったりと幅広いメリットがあります。

実際に電子カルテの導入を検討している医療機関も増えていますが、導入をしたくてもコストの部分がネックになっているケースも多いのではないでしょうか。

そんな悩みを解消できる方法の一つとしてあげられるのが補助金の活用です。補助金には幅広い種類がありますが、その中でも今回は、医療機関向けの「病院診療デジタル推進事業補助金」について紹介します。

概要から補助金の詳細まで解説しているので、コストの負担を減らして電子カルテの導入を進めたい医療機関は参考にしてください。


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病院診療デジタル推進事業補助金とは

病院診療デジタル推進事業補助金とは

公式:病院診療デジタル推進事業補助金

病院診療デジタル推進事業補助金とは、電子カルテの病院への導入および更新にかかる費用の一部を支援するために創設された、東京都保健医療局が実施する補助金制度です。

医療機関への電子カルテが導入されることにより、地域おける診療情報の共有や連携を促進することを目的としています。

病院診療デジタル推進事業補助金は東京都保健医療局が実施する補助金なので、活用できるのは東京都の病院等に限られます。

しかし、医療機関を対象としている補助金なので、幅広い業種を対象としている補助金に比べると採択率が高くなる可能性があります。特に医療機関で電子カルテの導入を検討されているケースで、医療機関向けの補助金を探しているなら病院診療デジタル推進事業補助金がおすすめと言えるでしょう。

病院診療デジタル推進事業補助金を活用するメリット

病院診療デジタル推進事業補助金を活用するメリット

病院診療デジタル推進事業補助金の詳細を説明する前に、そもそも活用することでどのようなメリットがあるのかについてご紹介します。特に初めて補助金を活用する方の中で、どのような利点があるか知りたい場合は参考にしてください。

電子カルテの導入コストの負担を減らせる

病院診療デジタル推進事業補助金のメリットの一つとして、電子カルテの導入や更新に関わるコストの負担を軽減できることがあげられます。電子カルテは、患者さんの診療情報をデジタル化し、管理・共有するために重要なシステムとなりますが、導入や運用には高額なコストがかかることもあります。

病院診療デジタル推進事業補助金を活用すれば、初期投資コストはもちろん、システム更新コストや運用コストまで幅広い部分を支援してもらえるため、通常よりも安く導入が可能になるのです。

特に病院診療デジタル推進事業補助金は医療機関向けの補助金なので、負担を軽減させるためにも対象となる医療機関が活用しない手はありません。

病院診療デジタル推進事業補助金は原則返済不要

病院診療デジタル推進事業補助金に限らず補助金は、特定の条件や目的にマッチする取り組みを支援するための制度であり、東京都から提供される財政的な支援であるため、受け取った補助金は原則として返済する必要がありません。

融資などの借り入れと比べても医療機関の負担を大幅に減らせるため、自院と条件がマッチする補助金があれば活用した方が得られるメリットは大きいでしょう。


電子カルテのメリットにつきましては、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

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病院診療デジタル推進事業補助金の詳細

病院診療デジタル推進事業補助金の詳細

上述では病院診療デジタル推進事業補助金の概要からメリットまで紹介しました。ここからは、実際に申請を検討されている医療機関向けに、補助対象者や補助額など詳細に紹介するので参考にしてください。

補助対象者

病院診療デジタル推進事業補助金の対象者は、東京都内で200床未満の病院を開設するものであり、東京都知事が適用と認める者と記載されています。

上記について詳しく紹介すると、東京都内で200床未満の病院を運営または開設予定の者が、病院診療デジタル推進事業補助金の対象となることを意味しています。ただし、単に病院を運営しているだけではなく、その申請者が東京都知事によって補助金を受けるのに「適当」と認められる必要があります。ここでいう「適当」とは、補助金の目的に合致した計画を持ち、補助金の使用目的が適切であると都知事に判断してもらう必要があります。

ただし、下記リストに当てはまる場合、対象外となりますのでご注意ください。

  • 地方自治法(昭和22年法律第67号)第1条の3に規定する地方公共団体
  • 地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人及び同条第2項に規定する特定独立行政法人
  • 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人及び同条第2項に規定する特定独立行政法人
  • 国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第1項に規定する 国立大学法人
  • この補助金の交付を受けた年度の翌年度から起算して5年を経過していない病院

事業対象範囲

病院診療デジタル推進事業補助金では、以下2つの事業が対象となります。

  • 標準規格準拠の電子カルテシステムの導入および更新(診療録等を電子的に記録、保存、管理するためのシステムの導入。また、サーバー、システム設計、セキュリティ対策、取り付け工事等を含む)
  • 病院に設置する医療情報システムを、電子カルテシステムと連携させるために必要になる改修(オーダリングシステムや医事会計システム等の医療情報の管理に係るシステム)

対象経費

対象経費の詳細については、下記の表に簡単にまとめているのでそちらをご覧ください。

区分対象経費
電子カルテシステムの整備支援・電子カルテシステムの導入(診療記録等、診療記録を電子的に記録、保存および管理するためのシステム) ・更新(サーバー等機器導入、システム設計・開発、情報セキュリティ対策、取り付け工事等) ・オーダリングシステム、医事会計システム等、電子カルテシステムと連携させるために必要となる改修 ※導入・更新する電子カルテシステムは、格納されている情報を厚生労働省標準機準であるSS-MIX2ストレージに出力することが可能であることを要件とする
電子カルテシステムの運用に伴う事務作業支援医師の指示の下に行う電子カルテシステムにおける診療記録への代行入力や、電子カルテシステムを活用した医療機関同士の情報共有の取組を推進する業務等を専ら行う者の給与費(法定福利費、手当含む)報酬、報償費、賃金、役務費及び委託料

補助額および補助率(交付額の算定方法)

病院診療デジタル推進事業補助金の補助額は、病床数等に応じて異なります。下記では基準額と補助率について紹介しているので、そちらを参考にしてください。

 補助額補助率
電子カルテシステムの整備支援基準額:605,000円に病床数を乗じた金額1/2
電子カルテシステムの運用に伴う事務作業支援基準額:3,600,000円×配置月数/12

上記が補助額と補助率になりますが、補助額についてはそれぞれの病院によって異なるため、交付額を算出しなければなりません。

まず、「電子カルテシステムの整備支援」における補助額は、「基準額605,000円」に、その病院が持っている「病床数」を乗じることで、補助金の総額を計算します。

例えば50床の病床を持っている病院の場合、下記の計算になります。

【交付額の算定方法】

605,000円(基準額)× 50床 = 30,250,000円

次に、電子カルテシステムの運用に伴う事務作業支援の交付額の算定方法について紹介します。

「電子カルテシステムの運用に伴う事務作業支援」は、基準額となる「3,600,000円」に「配置月数/12」を乗じることで補助金の額を算出できます。

そもそも「配置月数」とは、電子カルテシステムを実際に運用した月数を意味しています。そして、その数を12で割ることによって1年間に換算した運用月数の割合を求めることができます。

例えば、電子カルテシステムを6か月間運用した場合、下記の補助額になります。

【交付額の算定方法】

3,600,000円(基準額)× (6ヶ月 / 12ヶ月) = 1,800,000円

上記のように、補助額は算出することでどのくらい受け取れるのかがわかるので、上記を参考にしながら計算してみてください。

申請に必要な書類

病院診療デジタル推進事業補助金への申請には、下記の書類を準備する必要があります。

  • 病院診療情報デジタル推進事業計画書
  • 見積書及びカタログの写し(整備内容及び所要額が確認できるもの)
  • 直近3か年分の決算書(開設者及び補助金の申請を予定する病院の損益計算書・貸借対照表等)

上記は必ず提出する必要があるので、申請を検討されている医療機関は事前に準備しておきましょう。

また、補助金には提出先が決められています。病院診療デジタル推進事業補助金の場合は下記が提出先になりますので参考にしてください。

【書類提出先】

(1)提出先

  〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号

  東京都庁第一本庁舎28階南側

  東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当

公募受付開始はいつから?スケジュールについて

病院診療デジタル推進事業補助金は、令和6年度も公募受付が行われる予定です。現在はあくまでも予定となっていますが、下記が仮のスケジュールとなっていますので、参考にしながら申請書類等を準備していきましょう。

【令和6年度のスケジュール(予定)】 

令和6年4月初旬   事業実施通知の発出

令和6年5月下旬頃  申請書提出締切

令和6年8月下旬以降 交付決定通知


電子カルテのサイバーセキュリティ対策につきましては、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

まとめ

今回は電子カルテの導入等に活用できる「病院診療デジタル推進事業補助金」を紹介しました。東京都の医療機関限定となっていますが、活用することで電子カルテの導入にかかる費用の負担を大幅に抑えられるので、この機会にぜひ活用をご検討ください。


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